4月より「パワハラ対策」がすべての企業で義務化も、6割が「自社では足りていない」と答える実態とは

株式会社ワークポートは2020年3月17日、「職場のパワーハラスメントの実態」に関する調査結果を発表した。調査は2022年3月3日~7日に実施され、20代~40代の男女計449名から回答を得た。その結果から、職場で起きているパワーハラスメントの実態や、企業側の防止措置の現状が明らかとなった。

約7割がパワハラ被害を受けた経験がある

「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の施行により、2022年4月から、中小企業を含む全ての企業にパワハラ対策が義務付けられた。では、職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)の実態はどうなっているのだろうか。

同社が、「職場でパワハラを受けたことがあるか」を尋ねると、66.6%が「はい」と回答した。
4月より「パワハラ対策」がすべての企業で義務化も、6割が「自社では足りていない」と答える実態とは

「パワハラを受けた個人が我慢している」という現状

「パワハラを受けた」と回答した人に、「パワハラを受けたときにどうしたか」を尋ねた。最も多かったのは「転職・退職を考えた」が72.9%で、次いで「誰にも相談せず我慢した」が36.8%となった。「上司に相談」は20.1%、「職場の窓口に相談」は13%となっており、職場内での解決・対策が難しい現状が浮き彫りになった。
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暴言や侮辱などの言葉による精神的攻撃が多い傾向に

さらに同社は、どのようなパワハラがあったか「具体的な内容」を尋ねている。1位は「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」で74.2%となり、他の項目より抜きん出て回答が集まった。以下、「過剰・過酷な業務の強制」が45.8%、「能力の過小評価・成果を認めない」が45.2%、「無視・仲間外し(仲間外れ)」が27.8%で上位となった。身体的な攻撃よりも、目に見えない形で部下を追い詰めるパワハラが多いことがうかがえる。
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4割の人が職場でのパワハラを見聞きしている

次に、自身はパワハラを受けていないと回答した人に「職場でのパワハラを見聞きしたことがあるか」を問うと、42%が「はい」と回答した。同社によれば、パワハラを「受けた」とした人の回答結果と合わせると、“パワハラに遭遇した人”は全体の8割に迫るという。
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職場のパワハラ防止策を講じているのは3社中1社

「現在の職場は、パワハラ防止に取り組んでいるか」を尋ねると、「取り組んでいる」は35%と4割未満だった。具体的な取り組みは、「定期的なパワハラ防止に関する研修や勉強会の実施」や「相談窓口の設置」、「匿名通報制度の実施」などの回答があったという。

また、パワハラが起こってしまった際の取り組みとして、加害社員に対する担当部署による指導や、部署の異動などの対処を行う会社も見受けられたという。
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6割以上が職場のパワハラ防止策に不満足

パワハラ防止策に「(自社は)取り組んでいる」と回答した157名に、「取り組みに満足しているか」を同社が尋ねている。すると、「まったく満足していない」は25.5%、「あまり満足していない」は35.7%となり、計61.2%の人が不満を抱えていた。

その理由は、「通報後の措置が不十分だった」など、防止措置が足りていないとの意見が大半を占め、パワハラ対策が形骸化している実態がうかがえる。
4月より「パワハラ対策」がすべての企業で義務化も、6割が「自社では足りていない」と答える実態とは
法改正によりパワハラ対策の義務化が大きく話題になっているにも関わらず、多くの人が職場でのパワハラに苦しんでいる現状が明らかになった。パワハラ対策が形骸的なものになってしまうと、職場全体の環境悪化にもつながりかねない。自社で起きているパワハラの現状を適切に認識し、根絶に向けた対策を行えているか、再確認する必要がありそうだ。