富士通株式会社(以下、富士通)と株式会社電通グループの株式会社電通(以下、電通)および株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)は2022年4月22日、顧客企業の継続的な事業成長と、カーボンニュートラルを見据えた環境・社会課題の解決を目的に、同月15日に戦略的協業に合意したことを発表した。3社それぞれの持つ強みを活かし、顧客企業のデマンドチェーン、サプライチェーン、エンジニアリングチェーンの効率的な連携を支援することで、生活者の行動変容をとらえ、多様化するニーズに即応できる仕組みづくりを実践していく方針だ。本協業の第1弾として、製造業のエンジニアリングチェーン領域でのDXを実現すべく、新たなプロジェクトを発足するという。
3つのバリューチェーンの最適化により「多様化するニーズ」に即応できる仕組みを構築
生活者のニーズが多様化し、急速に変化する現代社会において、企業には柔軟かつスピーディーな新商品・サービスの開発・提供が求められている。また、事業活動におけるSDGsへの対応も求められる中、「ESG経営」へのシフトが、企業の持続的な事業成長の実現に向けた前提となりつつあるという。しかし、多くの企業では、生活者の需要に関する情報を供給側に提供する「デマンドチェーン」、原材料の調達から消費までの一連の流れを指す「サプライチェーン」、製品企画から設計・生産準備を担う「エンジニアリングチェーン」の3つのバリューチェーン間での情報分断が課題となっている。
今回、富士通・電通・ISIDの3社は、この3つのバリューチェーンの効率的な連携により、顧客企業における提供価値の最適化を重要視し、製造業において「マーケティング情報の連携」および、「Time to Market(ある製品の発売を企画してから製品として市場に投入するまでの時間)」と「QCD(Quality、Cost、Delivery)」のトレーサビリティ環境の提供を行うとしている。
このようなバリューチェーンの効率的な連携により、生活者の行動変容や多様化するニーズへの迅速な対応が可能になるとのことだ。
その上で3社は、生活者ニーズを的確に把握した製品開発や需要予測により、リソースやエネルギーなどの無駄を削減する需給の最適化モデルを設計し、無駄のないものづくりや温室効果ガスの削減を行うことで、顧客企業を通じたトータルなカーボンニュートラルの実現も目指していくという。
その上で3社は、生活者ニーズを的確に把握した製品開発や需要予測により、リソースやエネルギーなどの無駄を削減する需給の最適化モデルを設計し、無駄のないものづくりや温室効果ガスの削減を行うことで、顧客企業を通じたトータルなカーボンニュートラルの実現も目指していくという。
協業の第一弾として「エンジニアリングチェーンのDXを実現する共同プロジェクト」を発足
3社は、本協業の第1弾として「エンジニアリングチェーンのDXを実現する共同プロジェクト」を発足する。本プロジェクトは、生産準備から製造までの過程において、富士通とISIDの持つコンサルティング・ITソリューション力を結集させるものだ。これより、両社は国内最大級のPLM(製品ライフサイクル管理)システムのデリバリーを可能にし、顧客ニーズの把握から製品開発、製造生産に至る各工程のデータの連携を行うことで、製造業向けのエンジニアリングチェーン領域におけるDX実現を後押ししていくという。
本協業のように、大企業がそれぞれの強みを活かして行なう企業支援の取り組みは、持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たすだろう。大企業同士の協業が社会全体にどのように影響していくか、注目が集まりそうだ。