約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?

株式会社Works Human Intelligenceは2022年2月21日、「遠隔地に居住する従業員の扱い」に関して、同社が運営する統合型人事システムのユーザに調査した結果を発表した。調査は2021年8月25日~9月24日に実施され、国内大手法人64法人から回答を得た。新型コロナウイルス感染症の影響からテレワークが急速に拡大する中で、「従業員の居住地」や「交通費に関する法人側の取り決め」の実態が明らかとなった。

6割弱が「条件付きで遠隔地居住を認めている」と回答

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークが一般的になっている中、各法人は従業員の居住先をどう考えているのだろうか。

同社が「職場まで新幹線や特急を利用して数時間以上かかる遠隔地への居住を認めているか」と尋ねると、「条件によって認めている」が57.4%で最多となった。これに「無条件で認めている」の11.1%を合わせると68.5%となり、約7割の法人が従業員の遠隔地居住を認めているようだ。

また、「条件によって認めている」とした法人に「どのような条件を設定しているか」を問うと、「理由による(理由に応じて認める)」が64.5%で最多だった。以下、「所定の距離、通勤時間の範囲内で認める」が29%、「理由と所定の距離、通勤時間の範囲内の両方」が6.5%となった。
約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?

6割がコロナ禍で「通勤手当の支給方法を変更」

次に、「コロナ禍での通勤手当支給方法の変化」について尋ねると、「変更しなかった」が39.1%で最多となった。そのほか、「実費支給に変更した」が34.4%、「従来の通勤手当を残し、条件によって実費支給とする制度を追加」が26.6%となり、計61%が支給方法を変更し、実費支給を導入していた。
約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?

通勤手当の実費支給の上限額は?

さらに、「通勤手当を実費支給する場合、上限額はあるか」を尋ねたところ、「上限額はない」が30%、「対象者の1ヶ月の通勤定期代等の月額を上限としている」が20%、「従前規定上の通勤手当の上限額を利用している」が42.5%となった。
約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?

一時出社時の移動費用は「会社負担が標準的」

同社は、従業員の遠隔地居住を認めている法人に、「一時的な出社の際の移動費の扱い」についても質問している。最も多かったのは「通勤の度に1回分の往復金額を支払う」の36.4%で、以下、「定期代を支払う」が26.9%、「実費精算を行っている」が23.1%と続き、「支払う」とした法人は計84.6%となった。

なお、「その他」と回答した15.4%の法人の中には、「所定の上限額を補助し、差額は自己負担」といった回答もあった。このように、負担する割合に差はあるものの、法人は何らかの形で従業員の移動費を支払っていることが明らかになった。
約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?

遠隔地居住を認めない理由として、「各種制度の想定外のため」と7割強が回答

最後に、同社は遠隔地居住を認めていない法人を対象に「その理由」を尋ねている。1位は「各種制度が遠隔地居住を想定していないから」で76.2%、2位は「出勤できることに重きを置いているから」で61.9%、3位は「通勤にかかる費用が高額になるから」で52.4%となった。また、割合は多くないものの、「職場の近隣に居住する社員との公平性が保てないから」という回答も14.3%あった。
約7割の大手法人が従業員の「遠隔地の居住」を容認。通勤手当の支給はどうしているのか?
今回の調査では、「従業員の遠隔地の居住を認める」とした法人が多くを占める一方で、各種制度面から「遠隔地居住は認められない」という姿勢を示す法人もいるとわかった。コロナ禍以降、テレワークの浸透により、働く環境が大きく変わった従業員も一定数いると考えられる。多様な働き方を求める従業員の声にどのように応えていくか、自社での方針を改めて検討する必要がありそうだ。