パーソルテクノロジースタッフ株式会社(以下、パーソルテクノロジースタッフ)は2022年2月21日、「フリーランス人材の活用」に関する意識調査の結果を発表した。調査期間は2021年11月22日~24日で、従業員300人未満の企業において、IT人材の採用、およびIT関連の発注に携わる300名から回答を得ている。この調査から、人材不足解消を目的としてフリーランスの活用を検討する企業がある一方で、発注したフリーランスのスキル不足などの課題も少なくないということが見えてきた。
IT人材不足を補う手段として「フリーランス」に高い関心
中小企業は、IT人材不足を補うための「フリーランス人材の活用」について、どのように考えているのだろうか。パーソルテクノロジースタッフは、まず「IT人材不足を補うために、これから活用したい手段」を尋ねている。すると、「中途採用」の73.7%、「新卒採用」の49%に次いで、「フリーランス」が28%で3位という結果になった。「人材派遣」や「ベンダー」を上回っており、フリーランス人材に対する期待の高さがうかがえる。
「欲しい人材」を“スピーディ”に活用したい企業がフリーランスを検討か
次に、同社は「フリーランスの活用を検討・実施する理由」について複数回答で尋ねている。その結果、最も多い回答は「優秀な人材に参画してもらえそう」で66.7%となり、次いで「一定期間のみ参画できる人材が必要」が56%と続いた。以下は、「発注後すぐに稼働できるから」が45.2%、「人員管理のコストがかからないから」が34.5%などとなった。欲しい人材を早く、低コストで集められる手段として、フリーランスに期待がかかっているようだ。フリーランス活用を実施した企業の約7割が「満足」と回答
実際にフリーランス人材を活用した経験のある企業に、「フリーランスを活用した際の満足度」を尋ねた質問では、「とても満足」と回答した企業が15.9%、「満足」は58%で、合算すると「満足している企業」は73.9%に達している。一方、「不満」は2.3%、「やや不満」は23.9%と、不満を感じた企業も一定数あり、フリーランス人材の活用には課題もあることが推測できる。フリーランス活用は「コスト削減」や「生産性向上」に有効な手段か
続いて、同社は「フリーランスの活用による良い影響」について複数回答で質問している。すると、「全体のコスト削減に貢献」が39.8%で最も多く、以下は、「全体の生産性向上に貢献」が38.6%、「売上・業績UPに貢献」が31.8%、「プロのノウハウが社内にシェアされた」が30.7%、「業務やプロジェクトが期待以上に進捗した」が29.5%などとなっている。ノウハウを身に付けたフリーランスの活用により、コストダウンや、生産性・売上の向上などのメリットを実感しているようだ。フリーランス活用で「苦労を感じている」企業も7割に迫る
前述のように、フリーランス人材の活用に満足している企業が70%以上に達する一方で、実際に活用した上で、課題を感じている企業もあるようだ。実際にフリーランス人材を活用した経験のある企業に、「苦労した点はあったか」を尋ねた結果、「苦労した点があった」が65.9%、「苦労した点がなかった」が34.1%となった。フリーランス活用経験企業の7割近くが、活用に際して苦労したことがわかる。フリーランス活用で苦労した点は「スキル不足」や「納期遅れ」など
同社は続いて、実際にフリーランス人材を活用した経験のある企業に、「フリーランス活用時に苦労した点」についても尋ねている。すると、「発注したフリーランスがスキル不足だった」が29.5%、「約束の納期に納品されなかった」が27.3%、「発注コストが高かった」が26.1%などとなった。求めるスキルとのミスマッチや、実務上のトラブルなどが実際に起こっていることから、自社の求める人材の要件整理を事前に実施することが、フリーランス人材活用におけるポイントとなりそうだ。
IT人材の不足に苦しむ中小企業にとって、フリーランス人材は積極的に活用したい資源のようだ。一方で、求める人材像を明確にしていなければトラブルに発展しかねないため、注意が必要である。求める人材の要件整理を事前に行い、適切に活用できれば、フリーランス人材は「コストダウン」や「生産性向上」につながる有効な手段となるだろう。