「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

株式会社カルチャリア(以下、カルチャリア)は2022年3月4日、経営者に対して行った「組織改革」に関する調査結果を発表した。調査期間は2022年2月24日~26日で、従業員100名以上300名未満の企業の経営者・役員102名から回答を得た。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大下において、経営者が「組織改革」の必要性をどのように捉えているのか、またその理由などが明らかになった。

「組織改革の必要性」を実感している経営者は約半数に

新型コロナウイルスの流行により、“働き方のスタイル”や“働くことに対する意識”の変容が進んでいる。このような中で、経営者は組織のあり方をどのように捉えているのだろうか。

まずカルチャリアは、コロナ禍における「自社の組織改革の必要性」について尋ねている。すると、「非常に実感した」が11.7%、「やや実感した」が34.3%となり、合計で約半数となる46%の経営者が、「組織改革の必要性」を実感していることがうかがえる結果となった。

一方、「あまり実感していない」が32.4%、「全く実感していない」が21.6%と、合計で54%になり、必要性を実感している経営者を上回る回答数となっている。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

「変化に対応できる組織づくり」が経営課題か

組織改革の必要性を実感している経営者に対して、「組織改革が必要な理由」を尋ねた質問では、「変化に対応できる組織を構築するため」が55.3%で最も多い回答となっている。以下、「リモートでの組織体制を盤石にするため」が38.3%、「コロナ禍でのエンゲージメント低下の防止」、「サスティナブルな組織運営推進」が共に34%などと続いた。いずれも“コロナ禍で変化する働き方”に対応できるよう、「組織力を高める施策への取り組みの必要性」を感じている様子がうかがえる。

また、自由回答では「業務の属人性が高く、社員の長期離脱により業務が立ち行かなくなる懸念がある」や、「一つ一つのことに対して、決定までに時間がかかる」などといった声もあった。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

コロナ禍で実際に「組織改革を実施した」経営者は2割にとどまる

同社は「コロナ禍以降に何らかの組織改革を行ったか」についても尋ねている。すると、「行なった」と回答した経営者は20.6%、「行なっていない」と回答した経営者は79.4%となり、思うように組織改革を進めることができていない経営者も多いことが明らかになった。

さらに、「行なった」と回答した経営者に対し、「どのような組織改革を行なったか」について自由回答で尋ねた質問では、「若手起用で改革に取り組みやすくした」や「大幅な人員配置の見直し」などの回答があった。他には、「在宅勤務の推奨」や「社員の出勤体制の変更」などの回答も寄せられており、これから組織改革に取り組みたいと思っている経営者にはヒントとなりそうだ。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

組織改革でまず行うべき施策は「心理的安全性の確保」か

コロナ禍以降に組織改革を「行なっていない」と回答した経営者に、「今後行う予定のある施策」を複数回答で尋ねた質問では、「心理的安全性の確保」が19.8%、「業務システムの一新」が13.6%、「ビジョンの改訂」が11.1%となった。組織の“ハード面”と“ソフト面”の両面からの改革を想定しているようだ。

ほかにも「人事制度の構築」が7.4%、「トップダウン型の意思決定の脱却」が4.9%と、経営側から従業員に対して、メッセージとして伝わるような取り組みを重視していることがうかがえる。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

9割の経営者が「社員の幸福度」や「心理的安全性」を重視

さらに、同社は「組織改革における『社員の幸福度』や『心理的安全性』の確保の観点を重視するか」と尋ねている。すると「非常にそう思う」が48%、「ややそう思う」が42.2%となった。「あまりそう思わない」と、「全くそう思わない」は合わせても1割以下にとどまり、「社員の幸福度」や「心理的安全性」の確保を重視する経営者が、9割にのぼることが明らかになった。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感

“社員の幸せ”が生産力向上の肝になる

では、なぜ組織改革において「社員の幸福度」や「心理的安全性」の確保が重要なのだろうか。同社が「組織改革における『社員の幸福度』や『心理的安全性』の確保の観点を重視する」とした経営者に対して「その理由」を複数回答で尋ねたところ、「社員に幸せに働いて欲しいから」が69.6%で最も多い回答となっている。以下、「企業の収益に直結するから」が45.7%、「優秀な人材の採用につながるから」が44.6%、「離職防止につながるから」が43.5%となった。

「社員の幸福度」や「心理的安全性」といった“社員の幸せ”を重視した組織改革を行うことで、生産力の向上につなげたい経営者の意図がうかがえる。
「心理的安全性」や「社員の幸福度」を重視した施策が必要か。コロナ禍で約半数の経営者が“組織改革の必要性”を実感
本調査から、コロナ禍において変化する働き方に対して、経営体制を整えるために「組織改革の必要性」を実感している企業が多いことが明らかになった。また、組織改革実行をする上で、「社員の幸福度」や「心理的安全性」が肝になることもうかがえる結果となっている。企業経営を維持するには、“自社の社員の幸せ”を基準に、生産性の向上につながる取り組みが求められるだろう。