中小企業を対象とする支援策をまとめた「中小企業活性化パッケージ」を、経済産業省が策定。具体的な支援内容や期間とは

経済産業省(以下、経産省)は2022年3月4日、金融庁・財務省と連携のもと「中小企業活性化パッケージ」を策定したと発表した。新型コロナウイルス感染症の流行に係る「コロナ資金繰り支援」の継続や、増大する債務に苦しむ中小企業における「収益力改善」、「事業再生」、「再チャレンジ」等を促すための総合的な支援を目的としているという。経産省は今後、同パッケージに基づき、中小企業の活性化に向けた施策を展開していく意向だ。

ポストコロナを見据え「中小企業の活性化」を目指す支援策を強化

経産省および金融庁・財務省は、「日本における雇用の7割を占める中小企業の活性化は、日本経済の成長と分配の好循環のエンジン」だとして、新たに「中小企業活性化パッケージ」を策定した。

同パッケージは、「コロナ資金繰り支援の継続」と「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」を柱としている。「コロナ資金繰り支援の継続」に関しては、「年度末の資金需要への対応」と「来年度以降の資金需要への対応」について明記している。また、「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」に関しては、企業を「収益力改善フェーズ」、「事業再生フェーズ」、「再チャレンジフェーズ」の3つのフェーズに分け、それぞれで行う支援の内容が盛り込まれた。

「中小企業活性化パッケージ」の内容の詳細は以下の通り。

1.コロナ資金繰り支援の継続

●年度末の資金需要への対応

(1)年度末の事業者の資金繰り支援等のための金融機関との意見交換・要請

(2)セーフティネット保証4号の期限延長

※一般枠に上乗せした別枠保証の期限を「3月1日」から「6月1日」まで延長

●来年度以降の資金需要への対応

(1)実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続等
→新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化している事業者に対する実質無利
子・無担保融資、危機対応融資の期限を「今年度末」から「6月末」まで延長
→返済負担を軽減するための融資期間を「運転資金15年」から「20年」に延長

(2)日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの継続
→民間金融機関が自己資本とみなすことができる、日本政策金融公庫の資本性劣後ローン
(最大20年元本据置、上限額10億)を「来年度末まで」継続

(3)納税や社会保険料支払いの猶予制度の積極活用・柔軟な運用
→納税緩和制度に基づく猶予及び社会保険料の支払猶予制度(延滞税や延滞金を0.9%に軽減)の柔軟な運用(原則担保不要、口頭での事情説明も可など)を継続

2.中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援

●収益力改善フェーズ

(1)認定支援機関による伴走支援の強化
→収益力改善に向けた計画策定に加え、認定支援機関による計画実行状況のフォローアップや助言等の強化【2022年4月~】

(2)協議会による収益力改善支援の強化
→ポストコロナを見据え、中小企業再生支援協議会において、コロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフト【2022年4月~】

●事業再生フェーズ

(1)中小機構が最大8割出資する再生ファンドの拡充
新型コロナによる影響が大きい業種(宿泊、飲食等)を重点支援するファンドの組成、ファンド空白地域の解消を促進【順次】

(2)事業再構築補助金に「回復・再生応援枠」を創設
→再生事業者が優先採択される枠を創設し、収益力の向上を促進【2022年春頃~】
・補助率:3/4(中堅2/3)
・補助上限額:従業員規模により500万~1,500万円

(3)中小企業の事業再生等のガイドラインの策定(経営者退任原則、債務超過解消年数要件等を緩和)
→数百人規模の民間専門家(弁護士等)を活用し支援
→ガイドラインに基づく計画策定費用の支援制度創設【2022年4月~】

●再チャレンジフェーズ

(1)経営者の個人破産回避のル-ル明確化
→「経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理の申出を受けた場合、個人破産回避に向け、金融機関が誠実に対応するとの考え方を明確化【2021年度中】

(2)再チャレンジに向けた支援の強化
→経営者の再チャレンジに向け、中小機構の人材支援事業を廃業後の経営者まで拡大【2022年4月~】
→中小機構において、廃業後の再チャレンジに向けた専門家支援を展開【順次】
→公庫の再チャレンジ支援融資を拡充【2022年2月~】


資金力に乏しい中小企業では、コロナ禍に受けたダメージにより、「今後を見据えた思い切ったチャレンジができない」という状況もあるだろう。「中小企業活性化パッケージ」にてまとめられているような公的支援を活用しながら、事業の活性化に取り組んでみてはいかがだろうか。