全研本社株式会社(以下、全研本社)は2022年1月7日、「脱炭素経営」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2021年12月17日~19日で、脱炭素経営に取り組んでいる従業員数30人以上の製造業の経営者108名から回答を得た。これにより、脱炭素に向けた取り組みの状況と効果、課題などが明らかとなった。
半数以上が脱炭素経営のために機器やシステムを導入済み
脱炭素化に向けて企業の社会的責任が高まっているが、実際の取り組みを通じて、企業ではどのような効果や課題を感じているのだろうか。はじめに、全研本社が「脱炭素経営の取り組みにあたり、機器やシステムを導入したか」と質問すると、「はい」が55.6%、「いいえ」が44.4%となった。半数を超える企業で、新たに機器やシステムを導入したことが判明した。
具体的な取り組みでは「省エネ設備の導入」や「LED照明の導入」が上位に
続いて同社が、「実際にどのような取り組みをしているか」について複数回答で尋ねたところ、「省エネ設備の導入」および「LED照明の導入」が共に73.3%で最多となり、次いで「自家消費型太陽光発電の導入」が51.7%と続いた。また、自由回答では「ゴミの削減や再利用」、「リサイクル機構の利用」、「社用車のEV車への変更(予定)」、「高効率モーターへの更新」などの回答が得られた。
8割超の企業がシステム導入で「効果が得られた」と回答
また、「機器やシステム導入後、効果は得られたか」との質問に対しては、「そう思う」(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合計)が83.3%となり、8割を超える企業が導入効果を実感していることが分かった。システム未導入企業の6割が「導入が難しい」と回答
一方、脱炭素に向けた機器やシステムの導入を行なっていない企業に、「機器やシステムの導入は難しいか」と尋ねると、「非常にそう思う」が10.4%、「ややそう思う」が50%で、合わせて60.4%となった。システムを導入できない理由は「自社にあった機器やシステムの情報がない」など
また、「機器やシステムを導入できない背景にある課題」を複数回答で聞いた質問では、「自社にあった機器やシステムの情報が得られない」が39.6%で最多となった。さらに、「客観的な評価がわからない」が37.5%、「実際にかかる金額が不明瞭」が31.2%などと続き、情報不足や費用対効果を懸念する経営者が多いことがうかがえる結果となった。脱炭素経営を実行する際に参考にする媒体は「商品のサービスサイトやページ」が52.8%
さらに同社が「脱炭素経営を実行する際、機器やシステム、サービスに関する情報はどの媒体を参考するか」と尋ねると、「商品のサービスサイトやページ」が52.8%で最も多く、以下、「企業のコーポレートサイト」が40.7%、「紹介」および「展示会」が35.2%などと続いた。このように、さまざまな情報源から情報を得ていることがうかがえる。
「どのような機器やシステムを導入するのが適切なのか」を見定める上で、的確な情報が得られないために、脱炭素の取り組みを躊躇している企業もあるようだ。脱炭素経営の実行に向けては、まずさまざまに散らばった情報を的確に収集することがポイントとなりそうだ。