エヌエヌ生命保険株式会社(以下、エヌエヌ生命)は2021年12月16日、中小企業におけるSDGsへの取り組みについて、その実態を把握するために行なった調査の結果を発表した。調査期間は2021年11月26日~29日で、全国の中小企業経営者7,228名から回答を得た。これにより、SDGsに対する中小企業の関心度や、具体的な取り組み状況などが明らかとなった。なお、本調査では、従業員300人未満の規模の会社経営者(社長、会長、取締役)、または従業員のいる自営業者を「中小企業経営者」としている。
約半数の中小企業経営者がSDGsを認知。初めて聞いたのは「ここ1~2年」が最多
社会的なSDGsの認知度は、ここ数年で向上していると見られるが、中小企業ではどの程度の取り組みを行なっているのだろうか。エヌエヌ生命はまず、「SDGsについて知っているか」と尋ねている。その結果、「知っている」が47%で、次いで「聞いたことがある(内容は知らない)」が29.9%となった。一方で、「知らない」は23.1%となり、内容までを含む認知率は、約半数程度であることがうかがえる。
さらに、SDGsを「知っている」または「聞いたことがある(内容は知らない)」とした5,558名への、「『SDGs』を初めて聞いたタイミング」に関する質問については、「ここ1~2年(2020~2021年)」が69.6%で最多となった。
SDGsの施策に取り組んでいる中小企業は1割にとどまり、認知率と大きな差に
次に同社は、全員を対象に「SDGsに関する施策に取り組んでいるか」について質問している。すると、「取り組んでいない・検討や予定もない」が62.8%で最も多く、6割超の中小企業では、SDGsへの取り組みを行なっていないことが判明した。一方で、「取り組んでいる」は10.4%にとどまり、SDGsの認知率が47%だったことと比較すると36.6ポイントも低くなった。
「環境に関する施策」への取り組みが最多
SDGsに関する施策に「取り組んでいる」、または「取り組んでいないが、今後の取り組みを検討・予定している」とした回答者に対しての、「取り組む施策」に関する質問では、48.8%が「環境に関する施策」と回答している。以下、「経済に関する施策」が38.9%、「社会に関する施策」が35.2%などとなった。17の目標では「働きがいも経済成長も」や「すべての人に健康と福祉を」への取り組みが多数
また、SDGsの17の目標のうち、「取り組む施策に該当する項目」については、「働きがいも経済成長も」(42.2%)と、「すべての人に健康と福祉を」(40.6%)の2項目で、4割を超えた。以下、「つくる責任、つかう責任」が35.3%、「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」が33.6%、「住み続けられるまちづくりを」が32.6%、「ジェンダー平等を実現しよう」が29.3%などと、それぞれ3割程度で続いている。施策の成果は「従業員のモチベーション向上」や「企業価値向上」など
続いて同社は、「すでに施策に取り組んでいる」とした749名に対して、「SDGs施策に取り組んで得られたメリット」について尋ねている。その結果、最多だったのは「従業員のモチベーション向上」の41%で、以下は、「企業価値の向上」が36.3%、「企業イメージの向上」が34.7%などと続いた。「補助金や免税制度」などの経済支援が取り組み推進のカギか
同社が最後に、「中小企業がよりSDGsに取り組みやすい状況になるために必要だと感じること」について聞いたところ、最も多かったのは「補助金や税免除など、公的機関からの経済支援」で38.1%、次いで、「公的機関からの案内・報道など、中小企業の取り組み事例紹介の増加」が19.5%となった。一方で、「何もない・取り組む必要を感じない」も37.9%と4割近く、当事者意識を持たない企業も多いことがうかがえる結果となった。
中小企業ではSDGsに取り組んでいない企業が過半数のようだが、取り組みを行なっている企業からは、効果やメリットを実感する声も多い。国連が掲げる目標達成の目安時期から10年を切った今、取り組みを実施していない企業でも、自社でできる施策を検討してみてはいかがだろうか。