株式会社リクルートマネジメントソリューションズは2021年11月29日、同社が運営する組織行動研究所が行った「若手・中堅社員の自律的・主体的なキャリア形成に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2021年9月16日~21日で、従業員数300名以上の企業に勤務する正社員のうち、若手および中堅にあたる613名から回答を得た。これにより、ビジネスパーソンの「キャリア自律」に対する見解や、キャリア自律に向けた取り組みに対する意識などが明らかとなった。
従業員の多くが、キャリア自律に「自己責任」や「自己決定」が必要だと認識
従業員個人が主体的にキャリアを形成していく、「キャリア自律」を求める企業が増えている。では、働く個人は「キャリア自律」をどのように受け止めているのだろうか。調査でははじめに、「『自律的・主体的なキャリア形成』をどのような意味合いで捉えているか」を複数回答で尋ねている。その結果、回答が多かったのは、「『自分のキャリアの責任は自分にある』と考えること」(64.6%)や、「自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(61.3%)で、それぞれ6割を超えた。
一方で、回答が少なかったのは、「会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(38%)や、「1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(40.1%)などで、上位の回答からは20ポイント以上の差が見られた。
また、「自身のキャリアを考える上で重要だと思うこと」を上位3つまでの選択制で尋ねると、回答が多かったのは、「自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(29.7%)や、「自分に合った働き方を主体的に選択すること」(27.6%)などだった。
一方で回答が少なかったのは、上の設問と同様に、「1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(11.9%)や「会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(13.7%)といったものだった。「自身の価値観にあった働き方を選択すること」を重視するビジネスパーソンが多いことがうかがえる。
一方で回答が少なかったのは、上の設問と同様に、「1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(11.9%)や「会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(13.7%)といったものだった。「自身の価値観にあった働き方を選択すること」を重視するビジネスパーソンが多いことがうかがえる。
6割以上が会社からの「キャリア自律への期待」を感じている
続いて同社は、「会社からの、『自律的・主体的キャリア形成』を期待するメッセージの有無」を聞いている。その結果、「会社からの期待あり」と判断できる回答が全体の66.1%となり、そのうち、「強く期待するメッセージが出されている」が10.1%、「ある程度期待するメッセージが出されている」が27.6%、「具体的なメッセージはないが、期待されていると感じる」が28.4%となった。期待が大きいのは「仕事への主体的取り組み」、「成長機会の創出」、「継続学習」など
また、「期待あり」とした回答者に対して同社が聞いた、「『自律的・主体的なキャリア形成』として、会社が求めていること」という質問には、「何事も成長機会と捉えて、目の前の仕事に主体的に取り組むこと」が43.7%、「新しい経験にチャレンジしながら、自ら成長機会を作っていくこと」が41.5%、「キャリア形成のために必要な学習を、自ら継続的に行うこと」が33.3%で、上位となった。「主体的なキャリア形成」を望む一方でストレスを感じる人も多い結果に
さらに、「『自律的・主体的なキャリア形成』に関する考えについて、どの程度そう思うか」を、「自分」、「周囲」、「会社」、「社会」という4側面から尋ねている。「自分」に関連する回答を見ると、「自分自身は、『主体的なキャリア形成』をしたい」が、「とてもそう思う」、「そう思う」、「ややそう思う」を選択した回答者の合計が81.8%と、8割を超えた。一方で、「『自律的・主体的なキャリア形成』を求められることに、ストレスや息苦しさを感じる」の同合計も、64.8%と6割を超えていることから、「主体的なキャリア形成の必要性を感じつつ、会社からの期待に対してはストレスを感じている」ビジネスパーソンが多いことがわかった。
また、「会社」に関連する回答で同意の声が最も多かったのは、「『自律的・主体的なキャリア形成』を支援してくれる会社の方が、働きがいがある」で、同合計が76.2%という結果だった。
キャリア形成に役立つのは「学習支援」と「学びのための柔軟な勤務体系」
最後に、「キャリア形成を積極的に支援する仕組み・制度のうち、勤務先に『導入されている』および『役立っている』もの」について、「学習支援」、「起業・異動」、「マネジメント」、「キャリア支援」、「労働時間や働き方」の側面から尋ねた。その結果、「導入されているもの」、「役立っているもの」の双方が多かったのは「資格取得の金銭的補助」(「導入されている」54.8%、「役立っている」50.3%)や、「必要なとき、必要な知識・スキルを学べる機会や仕組み」(同46.7%、44.8%)となった。一方、導入率が低いが役立っているのは、「学びの時間をとれるような柔軟な勤務体系(フレックス、テレワークなど)」で、同25.8%、57%となった。
「キャリア自律」を自己決定や自己責任が伴うものと捉えて、「自身に合った働き方を自らが選択する」ことを重視するビジネスパーソンが多いことがわかった。一方で、会社からのキャリア自律への期待に対しては、ストレスを感じる場合もあるようだ。従業員のキャリア自律を推進できるよう、働き方の豊富な選択肢や、学習を支援できる体制の整備を目指してみてはいかがだろうか。