株式会社トレンド・プロは2021年11月16日、「組織課題や社内施策に関する意識調査」の結果を発表した。本調査は、企業内の「情報発信側(人事部・経営層)」と「情報受取側(その他の社員)」に対して行われたもので、計1,000名から回答を得たという。ここから同社は、「組織課題に関する現状認識」と「施策実施効果」の実態を明らかにした。
全体回答で最も関心があるのが「従業員エンゲージメント向上」
「組織課題として関心の高いもの」を全員に問うと、「従業員エンゲージメント向上」が21%と最多得票を獲得。以下、「コミュケーションの活性化」の17%、「部門を超えた連携強化」の13%が上位となった。情報発信側も受取側も、エンゲージメントに対する課題意識が最も高いことがわかった。課題解決のための施策を行うも、6割が社内に浸透していないと回答
「課題解決のための施策として取り組んでいること」を挙げてもらうと、上位3項目は「社員の意識調査」(38%)、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」(27%)、「評価制度の見直し・目標設定方法の見直し」(26%)だった。併せて「それらの施策の浸透状況」については、「既に浸透している」と成果を出している企業は全体の13%にとどまった。「取り組んでいるが、中々浸透していかない」企業が21%いたほか、「現状には満足していない」と感じている企業は6割以上にのぼった。続けて、「なぜ施策の浸透が難しいか」と質問しており、トップが「施策の設計が現場目線で作られていない」の36%、次点に「年齢や性格により、多様な価値観を受け入れられない人が多い」が34%で続いた。課題解決には、社員の多様性を考慮したアプローチを行う必要性がありそうだ。
社内の情報発信に対する人事部・経営層の満足度は?
さらに、「人事部と経営層(情報発信側)」に「社内への情報発信方法の満足度」を尋ねている。「非常に満足しており、現在の方法を変えるつもりはない」はわずか7%で、最多回答は「ある程度満足しているが、よりよい手法を模索している」の38%、「発信した情報が社内にどう伝わっているかわからない」が25%で続く結果となった。多くの企業で、情報の伝え方を試行錯誤している状況にある事が判明した。会社からの情報を「毎回理解するまで読む」社員は1割未満
最後に、「一般社員(情報受取側)」に「会社から発信される情報(企業文化・バリュー・行動指針の刷新、評価制度の変更、社内施策、中期経営計画等)をどの程度読んでいるか」を質問した。その結果、「理解できるまで読む」は6%で、「一通り目を通す」が32%、「興味があるときは見る」は25%だった。理解するまで読んでいるという人は非常に少なく、中には「まったく見ない」と回答した人も17%おり、情報を浸透させることの難しさが垣間見える結果となった。
調査結果からは、社内の情報発信や施策は、従業員に完全には届いていない実態がうかがえた。社内でどのように情報を伝えれば、従業員に組織課題を“自分事”として捉えてもらえるかを見直す必要がありそうだ。