リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは

株式会社コミクス(以下、コミクス)は2021年10月10日、企業の経営者・役員に対して行った、「営業マン成果の属人化」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2021年9月22日~24日で、新卒を毎年5名以上採用し、オンライン営業を実施している企業の経営者・役員104名から回答を得た。これにより、営業活動における属人化の実態や、企業の対策などが明らかとなった。

7割以上が「営業マンの成果が属人化している」と回答

事業活動のオンライン化が進むなかで、「業務の属人化」が懸念されている。本記事では、その中でも「営業活動の属人化」に焦点を当て、企業としてどのような取り組みが求められるのかを探る。

はじめに、「リモート営業化が進むなかで、営業マンの成果がより属人化していると感じるか」と尋ねた。すると、「とても感じる」が29.8%、「やや感じる」が45.2%に。合わせて75%の経営者が、自社の営業マンにおいて、「成果の属人化」を感じていることが明らかとなった。
リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは

属人化の原因は「新人育成の仕組みがない」や「情報共有ができていない」など

続いて、「とても感じる」または「やや感じる」と回答した人に、「営業マンの成果が属人化している原因」を尋ねた。すると、最も多かったのは、「新人営業マン育成の仕組みが整っていない」で、44.9%に。以下、「情報共有まで手が回らない」が42.3%、「営業担当者が属人化解決に意欲的でない」が26.9%などという結果となった。リモート営業に対応した情報共有の仕組みや、育成体制が整備されていないことがうかがえる結果だ。

また、「上記の回答以外の原因」について、自由回答で尋ねると、「コミュニケーションの不足」や「現況が把握しづらい」、「営業マンが実績を個人のものと捉えがち」などの回答が得られた。
リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは

4割以上が属人化への対策を“実施していない”

続いて、「営業マンの成果の属人化への対策を行っているか」を尋ねた。その結果、「行っている」が55.8%、「行っていない」が44.2%という結果に。4割以上の企業が、属人化への対策を講じていないことが明らかとなった。

また、属人化対策を「行っている」とした回答者に、「具体的な対策」を自由回答で尋ねた。すると、「コミュニケーションの活性化」や「情報の一元管理」、「営業日報の電子化と、好事例の情報共有」、「担当顧客とエリアのローテーション」などの回答が得られた。
リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは

約3割が「商談動画の共有」が必要としつつも未対応の結果に

さらに、属人化対策を実施している企業に、「営業マンの成績の属人化対策として、『商談動画の録画、および格納』は必要か」と尋ねた。すると、「必要だと思い、実行している」が50%、「必要だと思うが、まだ実行していない」が27.6%に。属人化対策として「商談動画の共有」の必要性を感じつつも、未対応の企業が約3割あることが判明した。また、「必要だと思わない」との回答も22.4%あり、企業の認識が分かれる結果となった。
リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは

「トップ営業マンの行動分析とマニュアル化」を実施している企業が4割超に

最後に、属人化対策を実施している企業に、「営業マンの成績の属人化対策として、『トップ営業マンの行動分析とマニュアル化』は必要か」と尋ねた。その結果、「必要だと思い、実行している」は44.8%で、4割を超えた。他方で、「必要だと思うが、まだ実行していない」も43.1%と、同程度の回答割合となった。
リモート営業によって懸念される「営業の属人化」。促進を防ぐために企業が講じるべき対策とは
リモート営業が一般化される中で、営業マンの属人化を抑制していくことが、企業全体の業績を押し上げるためにもますます重要となっている。対象の従業員への意識変革や、教育体制の構築などに取り組んでみてはいかがだろうか。