エヌエヌ生命保険株式会社は2021年7月15日、「中小企業経営者の就業不能における実態」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2021年6月18日~20日で、病気やケガを理由に1ヵ月以上休職した経験を持つ、全国の中小企業経営者と元中小企業経営者それぞれ206名、合計412名から回答を得た。これにより、経営者の就業不能における、企業経営に対するリスクや課題などが明らかとなった。
就業不能の原因は約7割が「病気」。年代別に見るその原因とは
経営者が就業不能になった場合、事業にはどのような影響があるのだろうか。はじめに、「就業不能になった原因」について尋ねた。すると、「病気」(67%)が最多回答となり、以下「業務外の事故(ケガ)」(18.9%)、「業務に関連した事故(ケガ)」(11.9%)が続き、病気による就業不能が最も多いことがうかがえる。
続いて、上の設問で「病気」が原因と回答した276名に具体的な病名を聞いた。年代別に見ると、60代以上および50代の経営者は「がん」が最も多く、25.2%(60代)と16.1%(50代)に。50代以降は、「がん」以外にも身体的な問題による就業不能が多いことがうかがえる回答が並んだ。対して、40代以下の若手経営者で最も多かったのは「精神疾患」で、18.8%となった。
就業不能により会社の売上が「減少」した経験がある割合は
さらに「会社経営を離れていたことにより売上は減少したか」と尋ねた。すると、60.7%が「減少した」と回答し、過半数を越えた。
また、「売上が減少した」と回答した250名に「減少の割合」を尋ねると、最も多かったのは「50~59%」で46名、以下「80~89%」が30名、「70~79%」が28名、「20~29%」が27名などという結果に。5割以上売上が減少している企業も多く、平均値は49%となった。
不安要素は「顧客や従業員への迷惑」が最多。事業継続に関わる懸念も
さらに、「会社経営から離れていた際に仕事について不安だったこと」を尋ねた。すると「顧客に迷惑をかけること」が46.8%で最も多く、次いで「従業員に迷惑をかけること」が36.4%で続いた。自身の就業不能により、クライアントや従業員に影響が出ることを懸念する経営者が目立つ結果となった。また、「経営の代行・後任」(35.9%)や「自分だけが担当している事務作業(給与や支払い振り込み、帳簿など)」(30.8%)などの割合も高く、経営者本人のみが担っている業務もあることから、それができなくなったときの事業継続について懸念する経営者も多いことがうかがえる。
就業不能時に「やっておけばよかった」と思った備えは
最後に、「就業不能時に“こうしておけば良かった”と思ったこと」を尋ねた。その結果、「保険への加入・拡充」が最多で35.9%に。他にも「経営引継ぎの準備」が21.4%、「事業ノウハウの社内共有」が20.4%、「臨時経営者・後継者の指名」が19.7%などとなった。
経営者が就業不能になることで、約6割の企業で平均50%もの売上減少を経験しているようだ。経営者の就業不能に備えるには、保険加入だけでなく、社内での情報共有や、経営者の業務の棚卸しなどを進めておく必要がありそうだ。