日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮ホールディングス)は2021年7月21日、経済産業省(以下、経産省)の「令和3年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」(以下、本実証)に、新たに参画すると発表した。本実証は、同年6月に株式会社エナリス他12社が共同で採択しており、今回は日揮ホールディングス他3社が参画。同社では、「エネルギー供給最適化プラットフォーム」構築を目指し、脱炭素社会における「再生エネルギー発電の利用拡大」および「電力の安定供給の実現」に貢献したい考えだ。
「需給調整市場」の確立により、再生可能エネルギーの普及を目指す
「脱炭素社会」実現に向け、現在「太陽光発電」や「風力発電」といった再生可能エネルギー発電の活用が拡大している。ただし、同エネルギーの活用にあたっては、出力が変動的だったり、余剰電力が発生したりといった、電力系統に影響を与えるさまざまな課題が発生すると想定される。これらの電力を活用しつつ、安定供給を実現するには、電力の「調整力」が欠かせない要素となる。経済産業省が主催する本実証は、エリアを超えた低廉かつ安定的な調整力を確保するためのものだ。これにより、蓄電池や太陽光発電などの「分散型エネルギーリソース」(Distributed Energy Resources、以下DER)を含む、調整力の広域的な調達・運用を行う「需給調整市場」の確立を目指している。
一方、日揮ホールディングスをはじめとする日揮グループは、長期経営ビジョンおよび2021年度以降5ヵ年の中期経営計画において、「エネルギートランジション分野における事業拡大」を基本方針のひとつに掲げている。今回日揮ホールディングスは、本実証を通じて「エネルギー供給最適化プラットフォーム」を構築すべく、コンソーシアムへの参画を決定した。
合計16社からなるコンソーシアムは、今後の本格的な需要調整市場の展開を見据え、本実証において、課題の抽出と技術検証を実施。DERを活用した安定かつ効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大を目指していく。
同社は本実証において、蓄電池などの電力リソースを制御する「リソースアグリゲーター」の1社として、産業用蓄電池に加え、今後普及拡大が期待される電気自動車を対象とする、エネルギーリソースの調整力制御に関する実証を実施する。また、需給調整市場への参入を目的として、将来的にさまざまなエネルギーリソースを制御できるプラットフォームの開発に取り組む意向だ。
「脱炭素社会」に向けて再生可能エネルギー活用に注目が集まっているが、活用に関してはいまだ課題も多いようだ。解決に向け、今後も需給調整市場の発展が強く求められていくだろう。