ガートナー ジャパン株式会社は2021年6月14日、日本企業のクラウド・コンピューティングに関する2021年の調査結果を発表した。調査は2021年4月に行われ、合計515件の回答を得た。これにより、日本でのクラウド・コンピューティングの利用状況が明らかとなった。なお、調査は毎年実施しており、結果を経年で比較分析している。
新型コロナの影響により、クラウド・サービスの利用が推進
IT化に向けた取り組みを行う中で、さまざまなニーズや課題を抱えている企業もあるだろう。日本における「クラウド・コンピューティング」の導入はどの程度進んでいるのだろうか。はじめに、「日本におけるクラウド・コンピューティングの利用状況」を分析した。クラウド・サービス別に見ると、2021年調査では「SaaS」が39%と最も高く、2020年調査の31%から8ポイント増加した。背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、Web会議ソリューションの利用が拡大したことなどがあると考えられる。
また、他の項目も含めた「利用率の全体平均」は22%で、これまでの調査の中で最大となった。コロナ禍に見舞われた2020~2021年の間、さまざまなサービスが活用され、日本全体でクラウドの利用が推進されたことがわかる。
7割弱が上司に対して「クラウド導入に対する理解がない」と感じている
また、「クラウドに対する上司の理解度と課題」を調査した。すると、「理解しておらず、説明するのに時間がかかる、方向性が見いだせないなどで困っている」が38.6%と最も多い結果となった。次いで、「理解しているとは言えないが、任せてもらっているので困ることはない」が31.8%だった。合わせて7割弱の企業において、「マネジメント層がクラウドを理解していない」という実態が明らかとなった。
調査結果から、2021年は日本企業におけるクラウド化がさらに進展したことがわかった。企業規模を問わず、全ての企業にとってデジタルの利活用は待ったなしの状況にある。事業展開を左右する「IT戦略」にどう取り組んでいるかが、今後の成長の鍵となりそうだ。