株式会社ネクストレベルは2021年6月11日、同社で運営するメディアにおいて3回にわたって行われた「テレワーク・リモートワークの現状調査」の結果を発表した。調査期間は2021年5月20日~6月4日で、第1回「テレワーク導入率の調査」が500名、第2回「テレワークをしている人向け調査」が348名、第3回「テレワークができていない人向け調査」が100名と計948名より回答を得た。これにより、ニューノーマルの働き方の現状が明らかとなった。
2020年4月以前と比較。「現在もテレワーク」は3割に満たず
新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークを導入した企業も多いだろう。新型コロナ流行前と現在では、働き方に変化はあったのだろうか。はじめに、「2020年4月以前と今を比較して、働き方は変わったか」を尋ねた。すると、「以前と同じ働き方」が69.4%、「(継続して)現在もテレワーク」が25%、「休みが増えた・働けない」が5.6%という結果に。約7割の企業でコロナ禍前と働き方が変わっていないことがわかった。
コロナ禍において、テレワークを導入しなかった企業は5割を超える
回答の内訳をさらに詳しく見てみると、「テレワークは導入されず、以前と働き方は変わらない」が55.8%と、コロナ禍でも働き方に変化がなかった企業が半数を占めた。また、「テレワークを導入済」という回答は、「週に3回以上テレワークになった」が14%、「一時的にテレワークが導入されたが、今は以前と変わらない」が13.6%、「週に1~2回ほどテレワークになった」が8.2%だった。現時点で、政府の掲げる「出社率70%減」には遠い状況であることが明らかとなった。テレワークの頻度が8割以上は4割に満たない
続いて、「テレワークを実施している」とした回答者に、「2021年6月現在、週のうちテレワークはどのくらいか」と頻度を尋ねた。すると、「8割以上」が27%と最も多く、「3~5割」が24%、「5~8割」が23.3%と続いた。「テレワークのみ」(12.1%)と合わせても、週の8割以上テレワークを実施しているのは39.1%となる。出社率を大幅に減らせるほど、導入できているとは言えないようだ。テレワークを導入しない理由とは?
また、「テレワークを導入できない理由」を尋ねると、「個人情報や機密書類を扱うため」、「特殊設備で自宅では作業できない」、「薬剤師や介護士など出社が必要不可欠な職業である」などの回答が目立った。一方で、「経営者や会社の方針」、「オンライン化やシステム化の準備が間に合っていない」などの声もあがった。「アナログからデジタルへの移行」を短期間で変えるのは難しく、テレワークのさらなる普及には、国など外部のサポートが求められそうだ。
新型コロナ流行を機にテレワーク導入が加速
続いて、「テレワークを導入したタイミング」を尋ねた。その結果、「2020年より前からテレワークを実施していた」は12.1%にとどまった。最も多かったのは「2020年4月ごろからテレワークが始まった」の58.9%で、第1回目の緊急事態宣言が発令された4月ごろを目途に、テレワークが急速に普及したことがわかる。それより後の時期では、「2020年夏~冬にテレワークが始まった」が10.3%、「2021年冬~春までにテレワークが始まった」が11.2%、「2021年春以降にテレワークが始まった」が6.9%となり、2020年夏以降は、半年間で少しずつテレワークを導入している企業が増えている様子がうかがえる。
また、「2020年4月の段階でテレワークに移行できた人の割合」を職種別に見ると、「事務職」が30%、「営業職」が17%、「エンジニア」が11%だった。事務職やエンジニアはもともとパソコンを使った作業が多いため、テレワーク環境も整いやすかったといえる。また、営業職は、オンラインを使った商談や契約が可能となり、システムさえ導入していればテレワークへの移行はスムーズなようだ。
6割弱が「今後もテレワークを続けたい」と肯定的
最後に、「今後もテレワークを続けたいか」を尋ねた。すると、「テレワークを続けたい」が57%と最も多い結果に。以下、「テレワークが良いが、少し出社を増やしたい」が24%、「今よりもテレワークを増やしたい」が9%と続いた。「通勤のストレスがない」、「通勤時間を家事や育児にあてられる」など、自宅で仕事ができる快適さから、テレワークに対して肯定的なビジネスパーソンが多いことが示された。
「通勤がなくなり、家事や育児にあてる時間が増えた」など、テレワークにより時間を有効活用できていると感じているビジネスパーソンも多いだろう。社員のライフワークバランスや企業の生産性向上のために、効果的なテレワークのあり方を模索していきたい。