厚労省、6月30日まで新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「雇用調整助成金の特例措置」を延長。一部変更および追加で特例を拡充

厚生労働省(以下、厚労省)は2021年4月30日 、雇用調整助成金の特例措置等について、内容の一部変更および特例措置の6月30日までの延長を発表した。これまで講じてきた同助成金に変更・追加を行うことで、緊急事態宣言等の発令地域や、特に厳しい状況に置かれた企業の雇用を支援していくという。

特例措置の変更および追加で、支援が必要な企業をサポート

厚労省では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年4月30日までを期限に雇用調整助成金の特例措置を行ってきた。今回、同年2月12日に公表した「新たな雇用・訓練パッケージ」を踏まえ、この特例措置の原則的な措置を縮減するとともに、「感染が拡大している地域」、「特に業況が厳しい企業」における特例を設置。同措置を、同年6月30日まで延長することに決定した。

全国的に行われる「原則的な措置」は、中小企業でこれまで日額上限額を15,000円としていたが、5月より13,500円に変更。解雇等を行わない場合に10分の10としていた助成率も、10分の9へと移行した。大企業でも、日額上限額を15,000円から13,500円へと変更している。

また、中小企業では5月より、これまでは大企業のみが対象だった「業況特例」と、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった「地域に係る特例」が追加される。いずれも日額上限額15,000円、助成率5分の4(雇用等を行わない場合は10分の10)となった。

詳細は以下の通り。なお、金額は1人1日あたりの上限額であり、括弧書きの助成率は解雇等を行わない場合である。「予定」と記された部分は、関係省令の改正を経て施行される見込みだ。
厚労省、6月30日まで新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「雇用調整助成金の特例措置」を延長。一部変更および追加で特例を拡充
特に業況が厳しい全国の事業主を対象とした「業況特例」と、営業時間の短縮等に協力する事業主を対象とした「地域に係る特例」の詳細は、以下の通りだ。

○業況特例
対象となる事業主は、「AとBそれぞれの月平均値の生産指標(売上げ高等)を比較し、Aが30%以上減少している」ことが条件だ。

A:休業の初日が属する月から遡って3ヵ月間の生産指標
B:Aの3ヵ月間の生産指標に対して、前年同期または前々年同期の生産指標
 (雇用保険適用事業所設置後であること、労働者を雇用していることが条件となる)


大企業は2021年1月8日から6月末まで、中小企業は5月1日から6月末までの短時間休業を含む休業等が対象となる。
厚労省、6月30日まで新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「雇用調整助成金の特例措置」を延長。一部変更および追加で特例を拡充
○地域に係る特例
対象となる事業主は、以下の4つ全てを満たす飲食店やイベント等催物を開催する事業主だ。

(1) まん延防止等重点措置の対象区域において都道府県知事による要請等を受けている
(2)まん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じている
(3)要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てである
(4)営業時間の変更、収容率・人数上限の制限、飲食物提供またはカラオケ設備利用の自粛に協力している


なお、厚労省のホームページでは、対象となる期間を地域ごとに公開している。また、7月以降については、雇用情勢が大きく悪化しない限り、いずれの措置も徐々に縮減していく考えだという。

緊急事態宣言の延長や、まん延防止等重点措置地域の追加など、新型コロナの収束はいまだ目途が立っていない。従業員の雇用を担保できるよう、今後も動向や現状を追いつつ、こうした措置の最新情報を意識的に見ていきたい。