株式会社アッテルは2021年3月9日、「2021年の人事異動に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2021年1月29日~2月2日で、企業の人事・採用担当者の300名より回答を得た。これにより、コロナ禍による2021年度の人事異動への影響などが明らかとなった。
エリアをまたぐ転勤は特に慎重になっている
新型コロナウイルス感染症の勢いは、いまだ終息の目途が立っていない。その影響は企業の人事異動にもおよんでいるのだろうか。はじめに、「2021年前期の人事異動の予定」を尋ねた。すると、「ある」が61.3%で、「ない」は25.3%ととなった。全体の4分の1の企業は人事異動を行わない予定であることが判明した。
次に、「異動に関して例年と異なることは何か」を尋ねると、「異動人数が減った」が26%、「エリアをまたぐ異動人数が減った」が23.3%となった。「特にない」は36.3%だった。
続けて、「例年と異なる理由」について聞くと、最も多かったのは「新型コロナの影響でエリアをまたいだ異動がしにくい」で39.3%が回答。次点以降は、「新型コロナの影響で部署間移動を減らしたい」が29%、「新型コロナの影響で売り上げに変化があった」が26.3%と続いた。コロナ禍を考慮し、人事異動を控えたり、エリアをまたぐ異動に慎重になったりしている企業の様子がみえた。
「データに基づく人材配置をしている」と答えたのは3社に1社
また、「異動や配置がどのような理由で行われることが多いか」を尋ねると、最も多かったのは「各個人の能力を引き出すため」で52.7%と半数以上が回答。次に、「部署のニーズに人材の能力をマッチングさせるため」が45.7%で、個人と組織が適材適所となるように検討した結果であることが上位となった。その一方で、「各個人の異動の希望を叶えるため」が35.3%、「機械的なローテーション」が11.7%と、異動は「データに基づかない」場合も一定数あるようだ。
最後に、「データに基づいて客観的に最適な異動や配置ができているか」を尋ねた。その結果、「できている」と答えた企業は33.3%と3社に1社という割合だった。 また、「人材配置の課題」を尋ねると、「部署のニーズに人材の能力をマッチングできていない」や「本人と上長やチーム長との相性を最適化できていない」という回答が多く寄せられたという。「人事異動によって最適配置を目指すも、課題が残る」というケースもあるようだ。
感染症対策でさまざまな制限が求められるコロナ禍は、人事異動にも影響を及ぼしている。
「新常態」に対応した、適切な人材配置やタレントマネジメントは何かを、検討していく必要がありそうだ。
「新常態」に対応した、適切な人材配置やタレントマネジメントは何かを、検討していく必要がありそうだ。