経済産業省(以下:経産省)は2021年3月12日、「グリーンイノベーション基金事業の基本方針」を策定したと発表した。「CO2削減効果」や「経済波及効果」などをふまえて、政策効果が大きく、社会実装までを見据えたプロジェクトに対し、10年間に渡って研究開発・実証等を継続的に支援していくものだ。これにより、同基金の成果を最大化し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、官民が足並みを揃え取り組んでいくという。
2050年カーボンニュートラル目標達成に向けた指針が明らかに
日本政府による2050年カーボンニュートラル目標に向けて、経産省は令和2年度第3次補正予算において、2兆円の「グリーンイノベーション基金」を確立した。同基金を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有したのち、これを経営課題として取り組む企業等に対して、研究開発から実証、社会実装までを、10年間に渡り継続的に支援していくとしている。経産省では、同基金を効率的かつ効果的に活用するため、有識者の参画を得て、2021年2月に「グリーンイノベーションプロジェクト部会」を設置。この中で、同基金事業全体の管理や運営に向け、基本方針を議論してきた。
今回、同部会での議論を踏まえ、経産省は「グリーンイノベーション基金」の基本方針を策定するに至った。この方針が定めるのは、基金事業における「支援対象」、「成果最大化に向けた仕組み」や「実施体制」等、各研究開発分野に共通して適用する事業にかかる方向性だ。経産省やNEDO等は、これに従い基金事業を実施する。
「支援対象」の項目では、「グリーン成長戦略において実行計画を策定している重点分野」で、「政策効果が大きく、社会実装までを見据えた長期間の継続支援が必要な領域」に重点化して支援することを示している。ここでは、中小企業・ベンチャー企業の参画や、大学・研究機関の参画も想定しているという。
また、「成果の最大化に向けた仕組み」の項目では、企業等の経営者に対して、経営課題として取り組むことへのコミットメントを求める予定だ。その仕組みとして、「(1)取り組み状況が不十分な場合は事業中止、委託費の一部返還」や、「(2)目標達成度等に応じて国費負担割合が変動するインセンティブ措置の導入」等を盛り込んでいる。
今後は、2021年3月中にNEDO基金を造成し、外部専門家の知見も取り入れながら、関係機関が緊密に連携した「透明性や実効性の高いガバナンス体制」を構築する。さらに、部会のもとで分野別のワーキンググループを設置し、研究開発プロジェクトごとに目標等を議論していく考えだ。
このような事業の開始により、企業に限らず人々の環境問題への関心はますます高まるといえるだろう。今後の事業発展のためにも、2050年カーボンニュートラル目標やSDGsなどについて、企業で新たな取り組みを始めてみてはいかがだろうか。