Sansan株式会社は2021年2月12日、「請求書に関する実態調査2021」の結果を発表した。調査期間は2021年1月19日~20日、請求書を取り扱う業務を担当するオフィスワーカー1,000名より回答を得た。これにより、テレワーク移行後の請求書に関する課題や、請求書処理に要する時間が明らかとなった。
「請求書のため出社」は非経理部門でも8割を超える
通常、企業内では多くの請求書を扱っているが、請求書の受け取りや内容確認、支払い承認などの請求書関連業務は、テレワーク推進によりどのような影響があるのだろうか。はじめに、非経理・財務部門のビジネスパーソンに「請求関連業務を行うために出社する必要はあるか」を尋ねた。すると、「ある」が82.5%と、8割以上が請求書対応のために出社を強いられていることが判明。業務負担は経理部門以外のビジネスパーソンにもおよんでいることが明らかとなった。
9割が受け取る請求書の「半数以上が紙」と回答。発行形式は取引先に依存
続いて、「受け取っている請求書の形式(フォーマット)」を尋ねると、「ほぼ全てが紙」という回答が60.6%と最も多い結果に。以下、「全体のうち約4分の3が紙、残りがPDFなどの電子形式」が18.8%、「紙と電子形式の割合がほぼ同じ」が10.9%と続く。これらの回答をした人の合計は90.3%となり、大部分が「請求書の半数以上」を紙で受け取っていることがわかった。
また、「取引先から請求書は特定の形式(紙もしくはPDFなど)でしか発行できないと言われたことがあるか」を尋ねると、「はい」が54%と半数以上を占めた。請求書のフォーマットは発行元に依存しており、受領側のみでは電子化を進めづらい背景が見てとれる。
1枚の請求書処理に約52分。1ヵ月で扱うのは平均96枚
請求対応業務は、受け取りから申請や保管までさまざまな工程に分かれている。そこで、「それぞれの業務にかかる時間」を尋ねた。すると、1枚の請求書を「受け取ってから保管するまで」に費やす時間の総計は「平均して約52分」であるとわかった。また、調査によると、企業1社が1ヵ月間に受領する請求書の枚数は「平均96.08枚」だった。これらの数値から、企業は平均して毎月約5,000分(約83時間)も請求書処理に時間を要していることになる。
約6割が「電子インボイス導入」に積極的な姿勢
2023年10月から、消費税の「適格請求書保存方式(インボイス制度)」が導入される。請求書などを7年間保管することが義務付けられるため、各方面で電子化への動きが強まっている。そこで「電子インボイスに対応することを検討しているか」を尋ねた。その結果、「検討している」が61%と、約6割の企業が準備を進めていることがわかった。
「紙」の請求書対応は、出社が必要だったり、処理に費やす時間を要したりと、テレワーク如何に関わらず非効率な面を持ち合わせている。業務の効率化や今後の税制改正のため、請求関連業務の電子化を検討してみてはいかがだろうか。