中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に

受発注サイト「エミダス」を運営する株式会社NCネットワークは2021年1月27日、3回目となる景況感アンケートの結果を発表した。調査期間は2020年12月16日~25日、同サイト会員の中小企業経営者203名より回答を得た。これにより、中小製造業が感じている「景況感」や「受注状況」が明らかとなった。

工場の稼働状況は回復傾向に

新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きが不明瞭となった企業も多いと予測されるが、3回目となる今回の調査で景況感の回復は見られたのだろうか。

はじめに、「工場の稼働状況」を尋ねた。その結果、「かなり混んでいる」が10.3%、「比較的混んでいる」が28.1%と、合計38.4%が「混雑傾向にある」と答え、前回比では10%以上アップしていることがわかった。

一方、「比較的余裕がある」は43.3%、「かなり余裕がある」は17.7%と、「稼働に空白がある」とした企業は6割におよんだ。しかし、前回と比較すると約13%ダウンしており、全体的に回復傾向にあることが明らかとなった。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に

受注状況も前回と比較して改善傾向に

次に、「2020年7~9月と比較した時の10月~12月の受注状況」を尋ねた。すると、「+10%以上」が27.1%、「+20%以上」が11.8%と、プラスの回答は38.9%という結果となった。

一方のマイナスは、「-10%以上」が21.2%、「-30%以上」が13.3%、「-50%以上」が6.4%と、合計40.9%が「減っている」と回答した。しかし、7~9月と比べると25%減少しており、中小製造業の景況感は改善傾向にあることがわかった。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に

自動車業界の景況感は前回比で約2割回復

続いて、「好調な業界と不調な業界」を尋ねた。その結果、「好調な業界」で最も多かったのは「半導体」で4割以上を占め、以下、「自動車」(3割弱)、「医療」(2割半ば)と続いた。なお、自動車業界は「不調な業界」の第2位にも当てはまっている(第1位は「工作機械」、第3位は「航空・宇宙」)。しかし、自動車で「好調」と回答したのは前回が11.9%だったのに対し、今回は28.2%となっており、16.3ポイント上昇している。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に

21年の採用を「行わない」企業は4割弱。そのうち新型コロナ関連の理由は3割強に

また、今回の調査では人材についても調査を実施。「2021年に採用活動を行うか」を尋ねると、「行う」との回答が6割を超えた。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に
さらに、「行う」と回答した企業に「どのような人材を採用する予定か」と尋ねた。すると、「新卒」と「若者(20~30代)」が4割弱を占め、最も多い結果に。若手の採用ニーズが高いことが明らかとなった。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に
最後に、「行わない」と回答した企業に「その理由」を尋ねた。その結果、「現状の人員で仕事が回るため」が最も多く、これらの企業では新型コロナの影響との関係性は薄いことがうかがえる。ただ、「新型コロナの影響で増員する目途が立たない」と回答した企業も約3割あることがわかった。
中小企業の製造業、新型コロナから半年経った時点での受注状況は改善傾向に
回復傾向にあった製造業も、今回の緊急事態宣言の再発令や期間延長を受け、再び低迷する場合もあるかもしれない。今後も社会全体の様子を見ながら、浮彫りになった課題を解決するための情報収集をしていきたい。