厚生労働省(以下:厚労省)は2021年1月22日、雇用調整助成金の特例措置等の対象期間を延長する方針だと発表した。同時に、大企業を対象とした助成率の引き上げも実施する見込みだという。これは1月7日以降、再び大都市圏を中心に緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を踏まえたもの。さらに、特に業況が厳しい大企業へは、社会情勢を適宜判断しながら特例を設けていく考えだ。なお、施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点では予定の段階となる。
特例措置の延長などにより、企業を支援する意向
厚労省は、これまで行ってきた雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金(以下:雇用調整助成金等)と、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下:休業支援均等)について、緊急事態宣言が再発令されるなど今般の新型コロナウイルス感染症拡大の状況に鑑み、期間を延長する方針を示した。具体的な期限を設けず、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末(発令時の見込み通り2月7日に解除された場合は3月末)まで措置を延長する見込みだ。また、特に厳しい状況に置かれている大企業に対して、雇用調整助成金等の助成率の引き上げも実施される見通しだ。今回の緊急事態宣言再発令に伴い、対象地域の知事より要請を受け、営業時間の短縮等に協力している飲食店等に対して、雇用調整助成金等にかかる大企業の助成率を最大10/10に引き上げる。これに加えて、生産指標(売上等)が前年または前々年同期と比べ、直近3ヵ月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業へは、当該宣言が全国で解除された月の翌月まで、雇用調整助成金等の助成率を以下の通り最大10/10にする予定としている。
・解雇等を行わない場合 :助成率10/10(これまでの特例措置の助成率3/4)
・解雇等を行っている場合:助成率4/5(これまでの特例措置の助成率2/3)
なお、今回の措置は緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月(2月7日に解除された場合は4月1日)から、雇用助成が大幅に悪化しない限り、段階的に縮減していくという。感染が拡大している地域や特に業況が厳しい企業については、雇用維持を支援するための特例措置を設ける方針だ。
事業活動の再開の見通しが立ち始めた矢先に再発令された緊急事態宣言により、再び休業や時間短縮の要請を受けた企業や業界もあるだろう。事業の継続や雇用の担保を懸念している企業もある中で、少しでも影響を軽減できるよう、政府の判断を欠かさず追っていきたい。