経営陣の意識改革が必要か。企業に潜む非効率な社内ルールや商習慣について、8割の企業が「ある」と回答

アドビ株式会社は2020年12月10日、「ビジネスパーソンの社内ルールや商習慣に関する実態調査」の結果を発表した。調査は2020年11月に実施されたもので、会社勤めでパソコンを用いた業務に就いている500名より回答を得た。これにより、新たな働き方やデジタル化が企業に普及するなかで、ビジネスパーソンが感じている非効率的な慣習や業務が明らかとなった。

約8割が非効率な商習慣ありと回答。その具体的な内容は?

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、企業は新たな働き方や業務のデジタル化による生産性向上に取り組んでいる。そうした中、社内ルールや商習慣について、働く人が「非効率的だ」と感じている業務はあるのだろうか。

はじめに、「非効率的だとわかりながらも、商習慣として続いていることはあるか」を聞いた。その結果、「多く存在する」が40.8%、「少し存在する」が39.8%と、合計80.6%が非効率に感じる商習慣があることを表明した。
経営陣の意識改革が必要か。企業に潜む非効率な社内ルールや商習慣について、8割の企業が「ある」と回答
次に、非効率な商習慣が存在するという回答者に、「無駄だと思う商習慣」を尋ねた。その結果、「書類への押印、捺印」(58.1%)が最も多かった。以下、「紙資料の印刷や配布」(52.9%)、「手書きの記載が必要な書類作成」(46.7%)と続く。業務効率化を目指す企業が多いなかで、無駄だと感じていながらも、改善されないままになっている業務が幾つも存在する実態が明らかになった。
経営陣の意識改革が必要か。企業に潜む非効率な社内ルールや商習慣について、8割の企業が「ある」と回答

パスワード付き添付ファイル(PPAP)の受送信は、いずれも半数以上が経験

昨今、セキュリティの観点からパスワード付き添付ファイルとパスワードをそれぞれメールで送る行為(通称PPAP、以下同)を廃止する動きが広まっている。実際に2020年11月、デジタル改革担当大臣が、内閣府と内閣官房でPPAPを廃止すると発表した。

そこで、「過去1年間でPPAPを受信した経験」について聞くと、「頻繁にある」が33.2%、「ときどきある」が48.8%と、合計82%が受け取っていると回答している。
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また、「過去1年間でPPAPを相手に送った経験があるか」を尋ねると、「頻繁にある」が21.8%、「ときどきある」が34.8%と、合計56.6%は送付経験がある結果に。多くの企業にとって、PPAPの送受信は一般的な商習慣となっているようだ。
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PPAPが利用されるのは、誤ったセキュリティ理解が企業内に浸透しているため

続いて、過去1年間にPPAPを送信したことがある回答者に、「使用した理由」を尋ねた。その結果、最も多かったのは「会社の規則やルールで指定されているから」(56.2%)で、2位は「セキュリティ上有意義だと思うから」(41.3%)となった。

なお、「パスワードがかかった添付ファイルとパスワードを分けてメールを送信しても、セキュリティ上意味がなくなってしまうことを認知しているか」と聞くと、「明確に知っていた」と回答した人は23.2%にとどまり、7割以上は認知していないことが判明した。会社の規則やルール、セキュリティ上の誤解などにより、誤った商習慣が広がり続けてきたことがうかがえる。
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無駄な商習慣をなくすのは「経営陣の意識改革」と約半数が回答

最後に、「会社内の無駄な商習慣をなくすために重要だと思うこと」を尋ねた。すると、「経営陣の意識改革」が47%と、半数近くが経営陣の理解を求めるという結果に。以下、「社内ルールの根本的見直し」(41.4%)、「自分自身のITリテラシー向上」(26%)と続いた。
経営陣の意識改革が必要か。企業に潜む非効率な社内ルールや商習慣について、8割の企業が「ある」と回答
デジタル化が普及するなかで、セキュリティ意識も常に変化させる必要性がある。今回の調査から、経営陣を始め、会社全体での意識改革やルールの改新が必要であることが示された。環境変化が急速に進み、新たな働き方の構築が求められる中で、「正しい方法」という観点を持ち、従来の業務を今一度見直すことが必要かもしれない。