ビジネス向けコミュニケーションツール「LINEWORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社は2020年11月26日、「リモートワークに関する意識調査」の結果を発表した。調査は2020年10月6~10日に実施。「2020年10月初旬までリモートワークを実施しておらず、なおかつ“主にデスクワークを除く業務に従事する社員”を雇用する企業経営者または役員」480名と、「主にデスクワークを除く業務に従事する20~40代の社員」500名の、合計980名から回答を得た。これにより、非デスクワークの業種に属する経営層と現場社員が、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下で、リモートワークについてそれぞれどう捉えているのかが明らかとなった。
今後の新型コロナ拡大に対し「経営不安」を抱く経営層は76.1%
リモートワークを行ってない企業では、コロナ禍における働き方をどのように捉えているのだろうか。まず、経営層に「新型コロナウイルス感染症が今後も拡大した場合、経営に不安を感じるか」を尋ねた。すると、「不安を感じる」が32.1%、「やや不安を感じる」が44%となり、合計76.1%の経営層が不安を感じていることが判明した。経営層も社員も「リモートワーク導入は困難」との見方が大半
次に、経営層と社員に「今後、所属企業でリモートワークの導入は可能か」を尋ねると、いずれも約8割が「不可能だと思う」もしくは「やや不可能だと思う」と回答しており、今後も導入しないと予想しているようだ。そこで、経営層に「導入しない具体的な理由」を尋ねると、「全社員または一部社員はリモートワークができない業務をしている」という回答が73.9%と最も多かった。その他、「社員の管理やマネジメントが難しいから」(10.9%)、「社員の業務効率が落ちると思うから」(10.7%)などがあがった。現場作業が必要となる専門的/職人的な業務や、実際に人の手が関わるような仕事では、リモートワークの導入は難しいようだ。
経営層の2割以上は、オンラインを活用した業務改善に前向き
続いて、経営層に「今後、オンラインを活用した新しい取り組みや業務改善などを行いたいと思うか」を聞くと、「そう思う」が4.4%、「ややそう思う」が18.5%となり、合計22.9%の経営層が、オンラインを取り入れた取り組みに意欲的であることが判明した。
さらに、「興味がある具体的な取り組み」について聞くと、最も多かったのは「ビデオ会議ツールを活用した接客や営業」で34.5%だった。以下、「タブレット端末の導入」(30.9%)、「業務報告のオンライン化」(25.5%)が続く。経営層が、将来的にはオンライン化による業務効率化を検討している様子が見える。
コロナ禍でリモートワークができない状況は「転職意向」にも影響が
次に、非デスクワーク業務に従事する社員に、所属企業がリモートワークを導入しなかったことを受けて「現在とは異なる職種や業界への転職意向に変化はあったか」を尋ねた。その結果、最も多い回答はどの年代でも「変わらない」だったが、世代別で回答傾向に差が見られた。特に、20代社員は「かなり向上した」が3.6%、「やや向上した」が16.9%となり、転職意欲が高まっている人は2割におよんだ。この割合は年代を経ることに下がるものの、コロナ禍においてもリモートワークができない状況は、従業員の士気に少なからず影響を与えていると推測される。
リモートワークの導入が難しい業種でも、内容によっては比較的オンライン化しやすい業務もあると思われる。仕事の中身を精査し、ツール導入で解決できるものを切り出すなど、従業員の働きやすさや感染予防を考えた改善策を検討する必要がありそうだ。