コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)

公益財団法人日本生産性本部は2020年10月16日、「新型コロナウイルス感染症が働く人の意識に及ぼす影響の継続調査」の結果を発表した。今回で第3弾となり、調査結果では「働く人の意識」についてまとめている。調査期間は2020年10月5~7日で、日本の企業や団体に雇用されている20歳以上のビジネスパーソン1,100名から回答を得た。これにより、新型コロナが企業で働く人に与えている影響が明らかとなった。

7月の前回調査時に比べ、勤務先への不安感は増加傾向に

新型コロナの影響により、従業員は企業に対してどの程度不安を抱いているのだろうか。はじめに、「勤め先の業績(売上高や利益等)に不安を感じるか」という質問をしたところ、「かなり不安を感じる」が19.8%、「どちらかというと不安を感じる」が44.4%と、あわせて64.2%が不安を感じていると回答。7月調査時の60.5%と比べて、増えていることがわかった。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
次に「今後の自身の雇用に不安を感じるか」と尋ねたところ、「かなり不安を感じる」が14.7%、「どちらかと言えば不安を感じる」が39%という回答結果に。それぞれあわせると53.7%が不安を感じており、こちらも7月調査時の46.9%と比較して増加していることが窺える。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
さらに「今後の自身の収入に不安を感じるか」と聞いたところ、22.1%が「かなり不安を感じる」、42.7%が「どちらかと言えば不安を感じる」という結果となった。あわせて64.8%が不安に感じており、7月調査時の60.6%から増加。新型コロナの影響を受け、「業績」や「雇用」、「収入」への不安感が高まっているといえる。
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望ましい人事評価は「バランス」を重視か

次に、テレワークの浸透により人事評価に対する受け止め方が変化するなか、「望ましい人事評価のあり方」を調査。人事評価の要素を「成果や業績」と「仕事を行う能力」、「仕事振りや態度」の3点に集約し、「望ましいと思うそれぞれの比重」(3点の合計を10とする)を尋ねた。すると、全てのバランスが保たれ、1つが突出することはない結果となった。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)

Off-JTやOJT、新型コロナ前後と機会の増減なし

続いて、「コロナ禍以降のOff-JT受講の有無」を尋ねると、「特に案内がなかった」が88.8%と、ほとんどの従業員がOff-JTを受けていないことがわかった。新型コロナの感染拡大によって、テレワークが増え、対面指導は減少していることがうかがえる。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
また、「コロナ禍以降のOJTを行う/受ける機会」を尋ねると、いずれも「ほぼ変わらない」が最も多い結果となった(行う側:41.5%、受ける側:42.5%)。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
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テレワーク時の課題、5月調査時から解決が進む

次に、「現在のテレワーク実施状況」を尋ねると、「テレワークを行っている」は18.9%と、7月と比較して大きな差はないことがわかった。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
また、5月の調査でテレワーカーが最も多く指摘した「出勤しないと閲覧できない資料やデータをネット上での共有化」は、48.8%から30.8%へ減少。各企業が課題解決に尽力したことが示唆された。
コロナ禍以降における従業員の不安感や人事評価の捉え方、育成状況が判明(第3回「働く人の意識調査」)
新型コロナの影響を受けた働き方や周辺環境の変化により、今後に不安を抱える従業員は少なくない。従業員の不安払拭に向けては、自社の動きや取り組みを経営層が定期的かつ丁寧に伝えていくことが今後求められるだろう。