株式会社タンタビーバは2020年10月8日、法政大学大学院 制作創造研究科の石山恒貴教授監修のもと行った「自社への“ファン度合い”に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2019年2月~2020年3月(分析含む)で、中小企業に勤務する会社役員および会社員、計1,000名より回答を得た。これにより、社員が会社に寄せる好意の度合いを数値化した「会社ファン度」や、ファン度を高める要素が明らかとなった。
自社のファン度、役員と一般社員では大きく差が
エンゲージメントの向上が企業課題の一つとして認識されるようになった昨今、社員が自身の勤務する会社に対して愛着を持って働くためには、どのような施策が必要なのだろうか。はじめに「自分の会社が好きか」と尋ねると、「あてはまる」と回答したのは役員64.1%、部長45.4%であるのに対し、一般社員は26.9%と3割未満にとどまった。また、「会社に行けると思うとワクワクするか」と尋ねると、「あてはまらない」との回答が、役員は27.4%と3割以下なのに対し、一般社員は63.1%と6割を超えた。この結果は、すでにさまざまな調査においても言われている「日本企業の従業員エンゲージメントは諸外国と比べて低い」という傾向にあてはまる。
因子分析から見えた「会社のファン度を構成する要素」とは
次に、10の設問をもとに「会社のファン度」を測り、回答結果より因子分析を実施。どのような要素で社員の「会社を好きかどうか」が構成されているのかをたどった。すると、「会社ファン度」を構成する要素として、「会社への誇りと満足」と「仲間との協働によるお客様の喜びの実現」が浮かび上がった。さらに、上記の要素を高める方法を重回帰分析で調べた。まず、「会社への誇りと満足」を高めるには、「理念浸透の実現」、「助け合いと協力の文化」、「成長と多様性の尊重」、「心理的安全性」の4つの因子が影響を与えていると判明。特に「理念浸透の実現」と「成長と多様性の尊重」が最重要要素と考えられ、「社員の尊重」や「成長を優先した企業文化の醸成」、「経営理念を共有すること」で、社員が同じ方向を目指す状態を実現することが必要となる。
次に、「仲間との協働によるお客様の喜び実現」を高める要素を分析すると、「理念の明文化」、「助け合いと協力の文化」、「心理的安全性」、「ありのままの自己の受容」の4つの因子が導き出された。中でも重要な要素は「助け合いと協力の文化」と「ありのままの自己の受容」で、「社員同士が助け合える組織文化の構築」や、「社員一人ひとりのありのままを許容する姿勢」の必要性が示唆されている。
石山教授は、今回の研究に寄せて「会社ファンを増やすには『理念浸透や助け合いと協力の文化、成長と多様性の尊重、心理的安全性』が重要」だと解説している。
石山教授は、今回の研究に寄せて「会社ファンを増やすには『理念浸透や助け合いと協力の文化、成長と多様性の尊重、心理的安全性』が重要」だと解説している。
経営者や役員が、一般社員のエンゲージメントを高めるために社員一人ひとりが働くことへの喜びや誇りを持てる状況を作ることで、さらなる事業発展や組織の組成につながるかもしれない。まずは、自社の状況を踏まえた施策を考えてみてはいかがだろうか。