DNX Venturesと米国セールスフォース・ドットコムの戦略投資部門であるSalesforce Venturesは2020年10月13日、「新型コロナウイルスのSaaS企業への影響に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2020年7月下旬~8月初旬で、国内のBtoB SaaSスタートアップ企業39社より回答を得た。これにより、SaaS企業に新型コロナウイルス感染症が与えた影響が明らかとなった。
約9割が新型コロナの影響で営業戦略を変更
新型コロナウイルス感染症は、SaaS企業にどのような影響を与えたのだろうか。はじめに、「新型コロナの影響で営業戦略において何らかの変更を行ったか」と尋ねた。すると、「影響が相対的に少ない顧客業界へフォーカス」との回答が51.3%と、およそ半数にのぼった。次いで、「既存顧客のアップセルへの注力」、「エンタープライズ向け営業に注力」が同率で46.2%という結果に。「特に変更なし」との回答は10.3%にとどまり、約9割の企業で何らかの営業戦略を変更していることがわかった。受注が「25%以上減少」した企業は2割以下にとどまる
次に、「新型コロナ前と比較した本年度通期の受注見通しの変化」を尋ねた。その結果、「25%以上減少する」との回答は18%にとどまった(25~50%未満:15.4%/50%以上:2.6%)。一方、「変化なし」または「増加」との回答は合計33.4%におよんだ。新型コロナを機に日本でのDX化が加速したことが、国内SaaS企業にとって企業が成長する好機となっていることがうかがえる。約半数が新規顧客パイプラインで「増加」または「横ばい」を示す
続いて、「2020年3月以降の新規顧客の営業パイプラインは変化したか」を尋ねた。その結果、「変化なし」または「増加した」の回答が合わせて49%と、SaaSビジネスは底堅いことが示唆された。7割がコロナ禍においても新たな収益機会を獲得
次に、「新型コロナ環境下での、自社の新たな収益機会」を尋ねた。すると、「あった」との回答が71.8%と、7割を超える結果となった。ほぼ全社がDX加速の契機と捉え、事業の追い風になると予想
最後に、「新型コロナがDXを加速させ、自社の事業にとって追い風になるか」と尋ねた。その結果、「なる」との回答が97.4%におよび、新型コロナによるDXの加速は企業にとって好機になると捉えていることが明らかとなった。
新型コロナの感染拡大を契機として、企業がDX化を推し進める上で、SaaSサービスの導入に向けて動いていることがうかがえる。SaaS市場は今後ますます需要が増し、顧客が利用しやすい新たなサービスも登場していくだろう。DX化を考える企業では、この機会に自社に合ったサービスを検討してみてもよいかもしれない。