株式会社Specteeは2020年9月15日、「BCP(事業継続計画)対策として活用する情報収集の手段」に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年7月17~20日で、全国の民間企業のBCP対策に関わる担当者(総務、人事、管理部門)1,114名から回答を得た。この調査で、担当者がどのように情報収集を行っているのかが明らかになった。
メインの情報源はWEBやテレビ報道、SNS情報の活用実態は
BCP対策の情報収集をする際、最も活用されているのはどのような手段だろうか。はじめに「BCP対策に必要な情報をどのような手段で集めているか」を尋ねると、「ニュースサイトや企業のWEB情報」が64.5%で最多と言う結果に。以下、「自治体・公共機関のWEB情報」が49.2%、「テレビのニュース・報道番組」が43.5%と続く。いっぽうで、近年注目が集まっている「SNSの情報」は、「企業や公共機関の公式発信(11.8%)」と「個人の発信(11%)」を両方合わせても22.8%にとどまっていた。
SNS情報を利用しない理由には「適切な活用の難しさ」
次に、BCP対策の情報収集時にSNSを活用していない人に、その理由を尋ねると、トップは「正確な情報が判断しづらい」(39.2%)で、4割に迫る回答が集まった。続いて、「情報が多すぎて必要なものを見つけづらい」が23.8%、「業務中のSNS使用を禁止されている」が21.2%となった。こうした理由から、BCP担当者が正確性や真偽に惑わされないよう、注意して情報に接している姿勢が垣間見える。SNSを活用しているという人も「多すぎる情報」と「真偽の見極め」には苦戦
対して、BCP対策の情報収集にSNSを利用している人に「不便だと感じること」を尋ねた。その結果、最も多かったのは「情報が多すぎて必要なものを見つけ出しづらい」の43.1%。次いで、「正確な情報か判断しづらい」(40.7%)、「SNS上から必要な情報を探し出す手段がわからない」(36.8%)となった。SNSを情報手段として利用している場合でも、多くの情報の中から必要な情報を見つけ、その正確性を判断することに困難を感じているようだ。実際に、自由回答では「調べた情報がデマだったため、調べ直した」、「答えに行き着くのに時間がかかる」といった経験談も寄せられた。
BCP担当者の6割超がSNSを「今後、活用意向あり」と回答
担当者がSNSを活用した情報収集に不便を感じていることは分かったが、実際の災害の場面ではSNSの情報を通じて人命が助かった例もある。その情報伝達スピードの速さから、今後活用したいというケースは増えることが予想できる。そこで、「BCP対策でのSNS利用に対して、今後活用していく意向はあるか」と尋ねた。その結果、「重要な情報収集の手段として利用していく」が18.8%、「数ある情報収集手段の一部として利用する」が42.2%と、合わせて6割以上が「今後活用の意向がある」と回答した。また、「SNSで情報収集することに懸念があるか」と尋ねると、「ある」と回答したのは68.2%で、7割弱にのぼった。BCP担当者は、SNSの活用を重要視しているが、その反面、「似たような情報の正否の判別」や「発信者や情報の正確さの不明瞭な点」などを懸念し、その活用には課題も多いと感じている様子が見えてきた。
災害時のリアルタイムでの情報収集において、SNSの情報がBCP対策に役立つケースもあるだろう。SNS情報の有用性や利点も広く知られることになった今、多くの担当者が従来から感じている情報精度の懸念や活用の不便さといった課題をどのようにしたらクリアにできるのか、有効的な活用方法を探ってみる必要があるのではないだろうか。