経営コンサルティングファームの株式会社タナベ経営は2020年7月22日、「新型コロナウイルスの企業経営に与える影響に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2020年5月25日~6月5日の12日間で、全国の企業経営者・役員・管理職・監査職・一般社員、合わせて459名から回答を得た。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた企業の業績に関する意識や、今後の経営課題などが明らかとなった。
大半に「マイナスインパクトのリスク」を与えたコロナショック
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、企業の業績に対してどのような「変化」を与えたのだろうか。最初に、コロナショックによる「業績へのインパクト」を聞くと、「全面的かつ直接的なマイナス影響を受けている」が32%、「部分的かつ直接的なマイナス影響を受けている」が37%と、全体の約7割がマイナスの影響を直接受けていると回答した。「直接的な影響はないが、今後マイナス影響が出るリスクをはらんでいる」とした26%も含めると、全体の95%が業績面でマイナスインパクトのリスクを抱えていることがわかる。体制構築とコミュニケーションの充実が課題となるテレワーク
次に、「テレワーク体制」の実態について尋ねた。その結果、全体の63%が「テレワーク体制を敷いている」と回答したが、そのうち「テレワーク体制ではあるが徹底できていない」との回答が23%を占めていることがわかった。テレワーク導入を急速に進めたことで、体制を活かしきれていない企業も一定数あるようだ。また、「デジタルコミュニケーションツールの活用」についても聞くと、「デジタルツールの活用により、コミュニケーション不足はない」と回答した企業は17%にとどまった。一方で、「活用はしているが、コミュニケーションが不足」が26%、「一部社員のみデジタルツールを活用しており、格差がある」が36%と、合計62%の企業で必要なコミュニケーションを十分に取れず、ストレスを抱えてしまう現状がうかがえる。
DX推進の重要課題には「デジタルマーケティングの強化」や「コミュニケーションツールの活用」
最後に「デジタル戦略面の重要施策」について選択式で聞いた。その結果、最も回答が多かったのは「デジタルマーケティングの強化」の37%となり、今後デジタルシフトを推進する企業が増えることが予想される。次いで、「コミュニケーションツールの活用」が21%、「デジタル人財の採用や育成」が16%、「AI・RPAの導入による業務改善」が16%の順となり、デジタルツールを用いたコミュニケーション施策への投資は、企業の重要テーマとして位置付けられているようだ。
新型コロナウイルス感染症拡大は、企業のデジタル化を一気に加速させた。従来の価値観に捉われず、変化への柔軟性やスピード感を持った対応が求められるニューノーマル時代を「好機」と捉えた企業経営が必要となってきそうだ。