コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加

M&A総合支援プラットフォームを展開する株式会社バトンズは2020年7月8日、新型コロナウイルス感染症拡大を背景としたM&A需要の調査結果を発表した。対象は会社・事業の売却もしくは買収について検討したことがある経営者111名で、調査期間は2020年6月24~25日。これにより、新型コロナの影響を受けたM&A検討の背景に、コロナ禍における企業の生き残り戦略があることがわかった。

新型コロナ以前も約6割の企業が買収を実施もしくは検討

新型コロナウイルス感染症拡大前後で、M&Aを検討した企業数はどのように変化しているのだろうか。新型コロナウイルス感染症の影響による「会社経営への変化」について聞くと、111社のうち「かなり変化があった」のは48.7%、「少し変化があった」のは39.6%と、合計89.3%が多少なりとも変化を実感していることが判明した。

最初に、新型コロナウイルス感染症が流行する以前の2019年10月~2020年2月の期間について「会社・事業の買収を検討、実施したか」と質問したところ、「実施した」との回答は22.5%、「検討したが実施しなかった」との回答は35.1%と、半数以上が実施または検討していたことが明らかとなった。
コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加

新型コロナウイルス後は買収「検討」企業が増加。市場変化への対応が背景

続いて、新型コロナウイルス感染症が流行し、影響を受けた後の2020年2月以降から現在までの期間について「会社・事業の買収を実施、検討したいと思ったか」を聞いた。すると「実施した」が17.1%、「検討中」が22.5%、「検討したが実施しなかった」が15.3%、「これから検討したい」が9.9%と、約65%が「実施または検討」していることが判明した。
コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加
上記の質問に「実施した」、「検討中」、「検討したが実施しなかった」、「これから検討したい」を選んだ回答者に実施・検討の理由を尋ねると、「市場変化に対する対応」との回答が70.8%と最多に。次いで、「自社のウィークポイント補強のため」が62.5%、「事業拡大のため」が54.2%となった。

自由回答では、「企業が生き残るため」、「統合によるシェア拡大を期待して」など、市場の変化にあわせて体制を柔軟に変化させようとする意図がうかがえる。
コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加
一方、企業の「売却」について、新型コロナウイルス感染症が流行する以前の2019年10月~2020年2月に「売却を検討、実施したか」を尋ねると、「実施した」と回答した企業は24.3%、「検討したが実施しなかった」が27%となった。最も多い回答は「検討していない」の45.1%で、半数近くは売却の検討をしていなかったという結果だ。

コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加

約6割の企業が売却を「実施または検討」新型コロナの影響による経営不振からの売却も

次に、新型コロナウイルス感染症拡大後の2020年2月から現在までの期間について、「会社・事業の売却を実施もしくは検討したか」を聞いた。その結果、「実施した」が14.4%、「検討中」が22.5%、「検討したが実施しなかった」が13.5%、「これから検討したい」が9.9%という結果に。およそ6割の企業が売却を「検討もしくは実施」していることがうかがえる。
コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加
前の質問で「実施した」、「検討中」、「検討したが実施しなかった」、「これから検討したい」とした回答者に「実施・検討の理由」を聞くと、「経営不振のため」が53.7%で最多回答に。次いで、「将来への不安のため」が46.3%「事業再編のため」が46.3%となった。新型コロナの影響を受けて経営不振に陥ったことで、売却を実施した企業が相当数あり、先行きを見通せない不安から売却を実施している企業も多いことが判明した。

コロナ禍で6割の企業がM&Aを検討や実施。企業の「生き残り」をかけた売却・買収が増加
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、会社や事業の買収もしくは売却を実施・検討した経営者は約6割にのぼることが明らかとなった。今後も市場の変化はますます激しくなると予測されており、M&Aを企業の「生き残り戦略」のひとつとして捉えることが求められそうだ。