「地球の限界」を超えないため環境負担を改善。仏ロレアルが2030年に向けた新たなサステナビリティ目標を発表

大手化粧品メーカーの仏・ロレアルは2020年6月26日、2030年に向けたロレアルグループの最新目標となる新たなサステナビリティプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」を始動すると発表した。これにより、「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」に向けた変革を進め、サステナビリティおよびインクルージョンに、よりコミットしていくという。

「地球の限界」を超えないビジネス継続に向けて体制移行を目指す

企業による主体的な地球環境問題への対応が必要とされるいま、人々が安全に生活できるよう、“プラネタリー・バウンダリー”を尊重する企業も増えてきている。これまでもロレアルでは、グループ全体の生産量を37%増加する一方で、工場と配送センターのCO2排出量を絶対値で78%削減するなど、環境問題に取り組んできた。同社では、地球環境問題を今後の人々の暮らしにおける最優先課題と捉え、今回新たに2030年までのサステナビリティ目標を掲げた。これにより、プラネタリー・バウンダリーを超えない経営維持への移行を目指すという。

具体的には、「2025年までに、生産時に利用するエネルギーに対し、再生可能エネルギーの採用率を100%にし、同社の全拠点でカーボン・ニュートラルを達成」、「2030年までに、自社製品に使用されるプラスチックを、リサイクル又はバイオマスに100%切り替え」、「2030年までに、自社製品の製造にかかる温室効果ガスの排出量を2016年と比較して1つあたり50%まで削減」としている。

さらに「生物多様性の保全」、「サステナブルな水資源管理」、「資源の循環利用」にも取り組む。限られた地球資源を尊重し、協働するコミュニティに対して公平であるべく、環境に対する直接的な影響の軽減にとどまらず、サプライヤーおよび消費者を含む、同社が携わるすべての活動において環境負担を軽減していくとした。その一環として、「Product Environmental & Social Impact Labelling」を開発。それぞれの製品ラベルに、環境および社会的影響をAからEまでの5段階で示すことで、消費者自身もサステナブルな選択が可能になるという。

過去に類を見ない規模の資金支援で、世界が直面する課題解決に貢献

ロレアルは去る5月に、「急務となる社会・環境問題」への取り組みに1億5,000万ユーロ(2020年6月の為替レートで約180億円)を充当すると発表し、支援計画を始動した。環境問題に取り組むための費用として、そのうち5,000万ユーロずつを、海洋および森林生態系の回復プロジェクトの資金と、サーキュラー・エコノミー(循環経済)に関する資金調達プロジェクトに充当する予定だという。さらに、残る5,000万ユーロで、「貧困、難民、障がい」、「社会・職業的共同参画の達成」など、脆弱な立場にある女性を支援するためのサポートとして、慈善寄付基金を立ち上げている。

次世代により良い未来を残すため、持続可能な社会を実現する社会課題に取り組んでいる企業もあるだろう。先行きが不透明な状況の中、社会課題に対しどのようなアプローチを行っていくのかは、本業の価値を定める重要な鍵となりそうだ。