様々な分野の企業に向けてシステム開発を手掛ける株式会社エクサウィザーズは、2020年5月8日、自社運営のコミュニティ「exaCommunity」のオンラインAIセミナーの参加者を対象に、新型コロナウイルス感染症拡大に関するアンケートを実施。企業290社、411名から回答を得た。その結果から、コロナ禍による企業への莫大な影響とともに、リモートワークの対応や経営戦略の見直しなど、事業変革の取り組みに対し、企業ごとにあらゆる違いが出始めていることがわかった。
67%の企業で売上高2割~4割減。特に小売と物流で大きな打撃
エクサウィザーズは、これまでにもコロナに関するアンケートをおこなっているが、今回のアンケートは、大企業、中小企業含めた290社を対象に、部門は事業部門やDX部門を中心、役職は部門担当者から経営者までと、調査対象をさらに拡大しておこなった。まず「会社業績(売上)へのコロナの影響は感覚的に何%くらいか」と質問をした。その結果、「影響なし」と回答したのは全体のわずか17%だった。一方で、売上高が「2割減」から「4割減」といった回答は全体の67%を占めており、多くの企業で影響を体感したことがうかがえる。業種別に見てみると「小売業」、「物流・運輸業」で売上高が「8割減」と大幅に落ちているのがわかる。
コロナ禍による影響をもっとも受けた業務は「営業活動」
次に、「コロナ禍による業務への影響はどの程度か」を尋ねると、「営業活動」では「やや遅延」が41%、「大きく遅延」が50%、あわせて91%が遅延を実感しており、どの企業でも「営業活動」をおこなえない状況にあったといえる。一方で「商品開発」や「社内業務」では影響はあるものの、「やや遅延」との回答が多く、「営業活動」の回答に比べて大幅な遅延は少ないことがわかった。長期にわたるWithコロナに備え、足もとの強化を始動する企業が増加
多くの企業で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は「今年末」から「来年末」までかかるだろうと推測しており、影響は長期間にわたってあるだろうと考えられているようだ。そのような中、「Withコロナ対策として新たに実施していること」について質問をしたところ、「経営トップからのメッセージ発信」という回答が最も多く80%となった。次いで、社外会議や社内会議の「リモート化」がそれぞれ62%となっている。経営方針の発信や制度導入など、すぐに取り入れられ、実行できる対策から徐々に始めている企業が多いのだろう。
「Afterコロナ」を見据えたビジョン構築や戦略見直しまでおこなった企業は4割程度
「Withコロナの対策」に取り組んでいる企業が一定数いる一方で、「Afterコロナ」を見据えた取り組みをおこなっている企業はどの程度いるのだろうか。回答の結果、リモートワークの導入など「働き方の再設計」が最も多く70%となった。一方、「Afterコロナに向けたビジョン構築や事業環境分析」、「既存事業の最適化や経営戦略の見直し」など、具体的な分析や見直しを進めている会社は4割前後にとどまっている。「Afterコロナ」を見据えたDX先行派企業はわずか3%
エクサウィザーズでは、アンケート結果を企業ごとに集計・評価し、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)の成熟度を計測した。「DX先行派」、「DX着手」、「To Be型」、「To Do型」、「漂流型」の5カテゴリに分け、企業のデジタル化がどの程度進んでいるのかを分析した。その結果、DXを積極的に進めている企業はわずか3%であることが明らかとなった。コロナ禍によって、在宅勤務などリモートで業務を進める企業が増えている中、労務管理や業務管理をスムーズに進めるためにも、企業のDX化は不可欠となってくる。「DXによる既存事業の強化」や「AI導入による業務効率化」など、Withコロナだけではなく、「Afterコロナ」の時代をも見据え、企業ではビジョンの再構築や経営戦略の見直しが求められそうだ。