経済産業省(以下、経産省)は、2020年5月22日、業種別ガイドラインなどに沿った中小・小規模事業者による取り組みに対し、国の支援を拡充することを発表した。これまで「中小企業生産性革命推進事業」の一部として実施してきた「小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)」、「ものづくり・商業・サービス補助金(ものづくり補助金)」、「サービス等生産性向上IT導入補助金(IT導入補助金)」をパッケージ化することで、緊急事態宣言解除後に本格化するであろう事業再開を強く後押しするという。
「事業再開支援パッケージ」は補助事業の支援内容を拡充
経産省ではすでに、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を乗り越えること」を目的に、前向きな投資をしている事業者に向けて、補助金の補助率や補助上限を引き上げた「特別枠」を設けていた。今回は緊急事態宣言解除を踏まえ、その施策に加えて補助事業の支援内容を拡大した「事業再開支援パッケージ」を策定したという。詳細は以下の通りである。
1.「特別枠(類型Bまたは類型C)」の補助率を引き上げ
2020年度補正予算で創設された「生産性革命推進事業」の特別枠において、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインなどで推奨されている、類型B(額面型ビジネスモデルへの転換)と類型C(テレワーク環境の整備)への投資が一定水準に達している場合、補助率を引き上げる。具体的には、投資が補助対象経費の6分の1以上であれば、どちらの類型でも補助率が3分の2から4分の3へ引き上がることになる。
2.「事業再開枠」を創設
中小・小規模事業者の事業再開を後押しすることを目的に、「持続化補助金(特別枠・通常枠)」、「ものづくり補助金(特別枠)」にあらたに定額補助・補助上限50万円の事業再開枠を設ける。ガイドラインなどに沿って実施した感染防止対策への投資が、事業再開枠の対象となる。
【事業再開枠の支援内容】
・補助率:定額補助(10分の10)
・補助上限:50万円または総補助額の2分の1まで
・対象者:持続化補助金(特別枠・通所枠)、ものづくり補助金(特別枠)が採択されている事業者
・対象経費:業種別ガイドラインなどに沿った感染防止対策を実施する際に係る経費
例として、消毒・マスク・清掃・間仕切り・換気設備などに係る費用などが挙げられる。
なお、事業再開枠の対象となるのは、39県で緊急事態宣言が解除された5月14日以降に発生した経費に限られる。
今後も必要に応じて補助金の公募を検討
2020年5月22日から、持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金の3種において、「事業再開支援パッケージ」の内容を反映した公募が開始された。なお、このパッケージの内容は、持続化補助金、ものづくり補助金の5月締め切り分で採択された事業者にも適用されるとのことだ。この支援措置は、新型コロナウイルス感染症対策として2020年度1次補正予算で措置された「生産性解明推進事業」の予算を使っておこなわれているが、今後も必要に応じ、追加的な予算措置を講じる可能性があるという。
各補助金の締切日は以下の通りとなる。
・持続化補助金:前回5月15日(金)/次回6月5日(金)
・ものづくり補助金:前回5月20日(水)/次回8月3日(月)
・IT導入補助金:前回3月31日(火)/次回5月29日(金)
なお、次回締切日以降も公募は継続される見込みで、断続的に締切日が設けてられていくようだ。
緊急事態宣言が解除となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて休業や短縮営業をしていた企業のなかには、事業再開に向けた取り組みを開始しているところもある。情報収集をおこない、自社に合った補助金・助成金をうまく活用することで、事業の継続や発展に努めていくといいだろう。