株式会社マネーフォワードは、2020年5月、「新型コロナウイルス感染症の影響による経営状況に関するアンケート調査」の結果を発表した。対象は、20歳以上の「経営者・役員」953名および「自営業」「自由業」を営む1,026名で、期間は法人向けのアンケートが4月10日~4月15日、個人事業主向けのアンケートが4月10日~4月13日。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大で、企業や個人事業主の経営状況にどのような影響が出ているのかが明らかとなった。なお、ここでは企業についてお伝えする。
約4社に1社は「資金不足」と回答
経営者・役員953名に「新型コロナウイルス感染症の影響による売上の落ち込みは、現在どのくらいか?」と聞いたところ、60%が「落ち込んだ」と回答した。次いで、「横ばい」との回答が28%。一方、「増えている」という回答はわずか3%だった。
また、「売上が落ち込んだ」と回答した576社に売上の落ち込み幅を尋ねると、50%以上落ち込んでいる企業が、合計で23%にものぼることが判明した。
売上減が予想される期間については、「半年程度」が31%、「1年以上」が35%となり、計66%はこの状況が長期にわたると考えているようだ。
今後の運転資金の状況に関しては、「資金不足が生じ始めている」(15%)、「すでに資金不足が発生し危機的な状況にある」(9%)と、合わせて24%に資金不足が生じているという結果となった。約4社に1社は、現時点で資金不足に陥っていることが伺える。
約6割が「補助金・助成金」の制度を理解できていない
「売上が落ち込んだ」と答えた576社に「売り上げ減少に対し、経営改善のためにしていること、検討していることはあるか」と聞くと、「補助金・助成金の利用」が43%と最多であった。次いで、「融資の利用」(35%)、「出張費用、会食等の経費の削減」(33%)と続く。この結果から、外部からの資金調達に重きを置いている企業が多いと言えるだろう。
続いて、「新型コロナウイルス感染症の影響を理由に、補助金・助成金制度を利用したか」と尋ねると、「利用を検討している、利用の可能性がある」との回答が66%あったものの、「実際に利用した」という回答はわずか1%だった。
「各府省や自治体などが提供する補助金・助成金制度について、十分理解しているか」については、「あまり理解していない」(54%)、「まったく理解していない」(10%)と、理解していないという回答が64%にも及んだ。補助金・助成金を利用したい意向はあるものの、申請方法の複雑さ、自社が対象であるかの判断、情報を得ることの難しさなど、申請にあたって何かしら課題を抱えている企業が多いことがわかる。
約半数の企業が融資の申し込みを検討。既に申し込んでいる企業は1割未満
売り上げ減少の対策として、補助金・助成金の次に検討している企業が多かった「融資」の申し込み状況を尋ねた。約半数にあたる49%が「申込みを検討している、申込みの可能性がある」と回答し、「申し込んだ」と回答した企業は8%だった。また、融資を既に「申込んだ」の内、52%が「今回初めて申込んだ」企業だという。新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りが難しくなり、融資を初めて利用することになったと推測できる。
「融資を申し込んだ」という71社に実行状況を聞くと、「融資が完了した」が30%、「融資が完了できる見込み」が45%と、75%が融資完了、または完了する見込みであることがわかる。
融資の申込先(検討先)は「政府系金融機関」が61%と最多で、次いで、「銀行」(31%)、「信用金庫」(27%)という結果だった。「新型コロナウイルス感染症特別貸付」などが設置されているため、政府系金融機関を選んでいる企業が多いと予想される。
新型コロナウイルス感染症の影響は、長期にわたると予想されている。企業が経営を続けていくためには、補助金・助成金や融資に関する情報を収集し、活用していくことが鍵となりそうだ。