エヌエヌ生命保険株式会社は2020年4月、「新型コロナウイルスによる中小企業の資金需要に関する調査」の結果を発表した。調査対象は、全国の中小企業経営者7,228名。結果からは、企業の「事業を継続していくうえでの資金」について、現在の「事業維持・継続のために必要な備えへの関心度」などが明らかとなった。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、1/4の企業で資金需要が発生
まず「新型コロナウイルス感染症の影響により急な資金需要が発生したか」と質問したところ、約4社中1社にあたる25.2%が「発生した」と回答。また、具体的な資金繰り対策をした960名に、具体的な資金対策の金額について聞くと、資本金に対する割合が「5%以上10%未満」という回答が27.6%で最多、次いで「50%以上」という回答が25%となった。これらの結果から、中小企業の中には資金難になっている企業が一定数あることがわかる。次に、「資金需要が発生した」と回答した中小企業経営者1,819名に、具体的な資金策について聞いてみると「公的機関からの融資」が19.2%と最も多かった。次いで、「銀行からの融資」15%、「親族からの借り入れ」14%、「信用金庫からの融資」8.8%となった。
外的要因による経営危機への資金対策は「預貯金」が6割弱で最多
パンデミックやリーマンショックなど外的要因による経営の危機に対し、資金の備えを対策しているかと聞いたところ、「預貯金」が57.3%と最も多かった。次に「個人向け保険」10.4%、「法人向け保険」10.0%と、資金面の備えとして保険商品を利用している中小企業経営者も一定数いることがわかった。法人向け生命保険の中には「契約者貸付」があることを知っている人は約半数
中小企業経営者に法人向け生命保険について聞いたところ、「加入している」が30.1%、「加入していないが知っている」が49.0%と、約8割が法人向けの生命保険を認識している結果となった。法人向け生命保険の一部商品では、「契約者貸付」が可能となっている。法人向け生命保険を知っていると答えた約8割の5,720名に、この「契約者貸付」を知っていたか質問したところ、「知っている」と答えたのは約半数にあたる50.3%だった。また、「契約者貸し付けの金利の減免」、「保険料払い込み猶予期間の延長」など災害発生時などには特別な取扱いが適用になることがあることを知っているのは、37.7%にとどまった。これらの結果から、法人向け生命保険の認知度は高いものの、十分に活用できている企業は少数であることが見て取れる。
事業継続で最も備えておきたい「雇用を含め事業を維持・継続していくための事業運転資金」
中小企業経営者に、事業を継続していく上で備えておきたい資金の種類を聞いたところ、「雇用を含め事業を維持・継続していくための事業運転資金」が48.3%となり、最多となった。次いで、「優秀な従業員の雇用と安心のための福利厚生対策資金」16.3%、「後継者が円滑に事業を引き継ぐための自社株対策資金や、経営者の退職金」13.7%と続く。1位と2位、3位とで30%ほどの差があることから、中小企業の経営者は今後の事業よりも、現在の事業の維持・継続のために、資金を確保しておきたいという意識が高いということがわかる。
今回の新型コロナウイルス感染症による経済的影響は、さまざまな企業に大きく及んでいる。いつ何が起こるかわからない状況で、万が一に備えながら現在の事業を維持、継続していけるよう対策を講じることが、現在、そして今後も多くの企業に求められるだろう。