厚生労働省(以下、厚労省)は2020年4月14日、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響を踏まえ、関係大臣と共に環境事業者団体へ7つの要請文を提示した。有期契約労働者や新卒の内定者等への雇用維持等に関し、適切な配慮を行うよう要請している。
「雇用維持等に対する配慮」の具体的な要請内容とは
新型コロナウイルス感染症の影響により、人や物の動きが滞っている。それにより、事業活動の余儀なくされた事業者も多く、経済活動に深刻な影響が及んでいるのが現状だ。こうした状況を踏まえ、政府は過去最大規模となる108兆円の経済対策を講じていくことを決定。それを受け、厚労省は関係団体に対し、経済対策の活用を促すと共に、有期契約労働者やパートタイム労働者、派遣労働者、新卒の内定者といった急激な事業変動の影響を受けやすい労働者の雇用維持等に対して適切な配慮を払うように要請を行った。今回の要請は、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、内閣府特命担当大臣(金融)、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣等との連名という形をとっている。要請内容の詳細は、以下の通りだ。
・事業継続に向け、資金繰り支援を活用すると共に、雇用調整助成金の特例措置等を活用し従業員の雇用維持に努めること。また新入社員に対しては、将来の戦力として、教育訓練の機会を設ける等、雇用を維持していくこと。
・失業者の再就職促進のため、求人を積極的に出すこと。また、中長期的な視点に立って、新卒者の採用を進めていくこと。
・入職時期を繰り下げの対象となった2019年度卒業者等には、特段の配慮をすると共に、対象者からの要求に誠意を持って対応すること。
・2020年度卒業予定者に対しては、「多様な通信手段を用いた説明会や面接等の実施」や「柔軟な日程の設定」等により、十分な就職活動を行えるよう最大限柔軟な対応をすること。
・障がい者等の雇用の安定を図ること。また、外国人労働者についても日本人と同様の配慮をしていくこと。
・有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者等の雇用の安定を図るため、解雇や雇止めを控える等、特段の配慮をすること。また、解雇等がやむを得ない場合も、労働者の生活が激変しないよう、退職後も社員寮等に一定期間入居できるようにする等、配慮すること。
・有給の特別休暇制度の制定といった「労働者が休みやすい環境の整備」や、「テレワーク・時差通勤の活用促進」「従業員の感染予防に向けた取り組み」等を、有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者等も対象に含める形で実施すること。その際は、妊娠中の女性労働者や、高齢者、基礎疾患がある労働者に十分配慮すると共に、子どもの世話が必要な労働者が休みやすいよう、環境を整備していくこと。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、全国の企業に及んでいる。今は大変厳しい状況にあるが、企業は終息後のことも見据えながら、従業員が長く働き続けられるよう配慮していくことが求められるだろう。