IT製品のレビュープラットフォームを運営するアイティクラウド株式会社は、2020年2月、「ビジネス用ソフトウエア・クラウドサービス導入に関する調査」の結果を公表した。調査対象は、全国20歳以上の男女300人。導入しているIT製品・サービスの内容や失敗経験、製品選定の際に影響を与えるコンテンツなど、IT製品・サービスの導入に関する実態が明らかになった。
約8割の企業がIT製品・サービスの導入を検討。リモートワーク推進に関するツールに関心が高まる
最初に、勤め先の企業で導入を検討しているIT製品・サービスの種類について聞いたところ、「現在具体的に検討していない」という回答は約2割にとどまった。このことから、約8割がIT製品・サービスの導入を検討していることが分かる。検討しているものとして最も多くの回答が集まったのは「グループウェア」と「オンライン会議」で、いずれも31%だった。次いで「コンテンツ管理系」が28%だったことから、リモートワークの推進を目的としたツールの導入を検討する企業が多いことがうかがえる。「業務の効率化」を目的としてIT製品・サービスを導入を検討する企業が多い
次に、IT製品・サービスの導入を検討している理由を聞くと、「余分な作業工数を削除するため」が50.7%で最多となった。次いで「営業効率を高め、売上拡大に繋げるため」が45.3%となり、主に「業務の効率化」をはかるためにIT製品・サービスの導入を検討している企業が多いことがわかった。8割以上の企業がIT製品・サービスの選定時に課題を抱えている
続いて、IT製品・サービス選定時の課題について聞いたところ、「課題はない」との回答は2割未満にとどまった。このことから、8割以上の企業が選定時に課題を感じていることがわかる。具体的な課題としては「費用対効果がわからない」が61.7%で最も多く、次いで「製品が多すぎて選べない」が34.7%、「活用や運用のイメージがわからない」が29.3%という結果となった。「費用対効果」や「活用・運用のイメージ」が湧かない中、多くのIT製品・サービス製品から自社に合ったものを選定するのは、非常に困難だと推測できる。4割以上の企業が、IT製品・サービスの導入で失敗経験あり
また、「IT製品・サービスの導入で失敗経験はあるか」という質問に対し、4割以上が「導入後に失敗した経験がある」と回答。「費用対効果」、「製品が多すぎて選べない」、「運用イメージが湧かない」といった選定時の課題が解決しなければ適切な選定が難しく、導入しても失敗に終わるケースが多いことがうかがえる。失敗理由は「費用対効果の悪さ」が約6割
IT製品・サービスの導入に失敗したと感じた理由について聞くと、「費用対効果が悪かった」が59.2%、次に「運用に余分な工数がかかった」が42.4%という結果になった。費用対効果は、導入前の課題としても1位であることから、課題が解決されないまま導入を進めた結果、失敗したケースが多いと考えられる。第三者の意見が選定に影響を与える
最後に、選定に最も影響を与えるコンテンツについて聞いたところ、「自身の体験」が23.3%と最も多く、次いで「導入事例」が22.3%、「専門家の意見・レポート」が18.7%、「製品評価や口コミ」が18%という結果になった。自身の体験以外では、第三者の意見に影響を受ける傾向が強いことが分かる。また、失敗経験がある人が4割以上であることを考えると、各製品・サービスの情報収集をおこなわないと、何を導入すればよいか判断できない人が多いことがうかがえる。また、今回の調査では、長所しか伝わってこない「製品パンフレット」よりも、実際に使った第三者の「導入事例」や「製品評価」、「口コミ」が重視される傾向にあることがわかった。
海外でも9割の人がレビューサイトを確認しているという調査結果があるように、IT製品・サービスの導入検討時には、第三者の意見を参考にできる「サイト」や「ツール」の活用が重要になるだろう。導入後の運用や効果に対するイメージをより明確にすることで、最適なIT製品の選定が可能になるのではないだろうか。