株式会社ステラパートナーは2020年2月、サービス業に従事する20~30代の男女1,122人を対象に実施した「仕事と会社に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は1月30~31日。若手社員の仕事に対する意識や価値観から、企業側が改善すべきことが明らかになった。
8割以上の若手社員が「転職を考えたことがある」
売り手市場を背景に、サービス業を中心に若手社員の定着率は年々低下の一途をたどっている。そこで、ステラパートナーは「仕事と会社に関する意識調査」を実施。まずは、サービス業に就く若手社員に対し「転職を考えたことがあるか」を調査した。その結果、「考えたことがある」と回答した人が81.4%となり、8割を超える若手社員が転職を検討した経験があると判明した。さらに、「実際に転職したことがあるか」という質問には、「転職した」と回答した人が52.4%、「現在転職活動中」が15%という結果となった。「転職は人生において当たり前のこと」ととらえている若手社員が増えているといえるだろう。
「転職を考え直した理由」は、同僚や上司、パートナーからの激励
次に、先の質問で「転職しなかった」と回答した若手社員(全体の約3割)を対象に、理由について尋ねたところ、「考えが変わった」が40.6%で最多となった。次いで「同僚からの言葉や激励」が19.1%、「パートナーからの言葉や激励」12%、「上司からの言葉や激励」7.6%という結果だった。転職を考え直した具体的な状況としては、「上司に相談に乗ってもらったことで、考えが変わった」、「もう少し成果が出るまで続けてみようと思った」、「会社内でのキャリア形成を具体的に提示されたから」などが挙がっている。周囲からの言葉や支えにより、転職を思いとどまることが少なからずあるようだ。
身近にいる仲間や同僚、上司からの励ましが退職希望者の心を動かす
続いて、先の質問に「転職を考えたことがある」と回答した人に対して「転職を止めてくれた人はいたか」を尋ねたところ、43.7%が「いない」と回答した。5割以上の転職希望者は慰留された経験があるという結果となった。さらに、「転職を止めてくれた人」について内訳を見ると、「友人・同僚」が16.3%、「上司」が15.4%、「パートナー」が12.6%、「家族」が10.6%となり、親しい友人や同僚、上司や家族など、身近にいる人たちに引き留められるケースが多いことがわかる。慰留された際にかけられた言葉で心に残っているものについて尋ねると、「今まで頑張ってきたんだからもったいない」、「会社を変えよう」、「この部署にとって必要な存在だ」、「辞められたら困るし寂しい」などが寄せられた。これまでの努力や頑張りに対する称賛や激励、別れを惜しむ声が心を動かしているようだ。
「スキルアップ」を重要視する人が多数。柔軟な働き方を望む声も
全ての人を対象に「仕事をする上で大切にしていること」について聞いたところ、「自分のスキルアップに繋がること」が49.3%で、約半数に上ることが分かった。次いで「自身の強みが活かせること」が41.9%、「誰かの役に立てること」が34.6%、「仲間からの信頼を得ること」が20.4%、「勤務する時間や曜日を選べるフレックス労働」が16.9%と続いた。人生の大部分の時間を占める仕事だからこそ、「スキルアップは欠かせない」と考える人が多い結果と言える。評価基準の透明化、福利厚生の充実を求める社員が多い
最後に、「会社に改善して欲しいことはあるか」と質問したところ、「福利厚生の充実」が29.4%で最多となった。次いで「評価の納得性」が17.9%、「インセンティブや表彰制度」が15.8%、「仕事量、難易度、責任の大きさ」が15.1%、「上司のマネジメント」が11.3%、「会社と業界の意義、価値を明確にすること」が6.9%という結果だった。具体的に会社に望むこととしては、「社員の評価制度の確立」、「スキルアップなど、成長できる体制づくり」、「有給が取りやすい環境」、「評価基準の透明性」などの意見が挙がった。
人手不足や売り手市場が続く中、若手人材を定着させていく取り組みは重要な経営上の重要課題といえるだろう。「仕事に求める価値」が多様化する現代において、「若手社員が会社に求めるもの」を企業側が理解することが、課題解決への鍵となるのではないだろうか。