「働き方改革」へ取り組む企業は約6割。帝国データバンクが企業への意識調査を実施

帝国データバンク(TDB)は2019年12月、「TDB景気動向調査」とあわせて、「働き方改革に関する企業の意識調査」を実施した。調査対象は全国2万3,652社で、2019年12月16日~2020年1月6日までの期間に行われた。働き方改革への取り組み状況や今後取り組みたいことなど、企業の意識が明らかになった。

約8割が「働き方改革」に積極的な姿勢。取り組みを開始した企業は昨年より増加

2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法」。2020年4月からは中小企業も適用対象となり、範囲は順次拡大されていく見込みだ。そうした中、多様で柔軟な働き方の実現や公正な待遇の確保、人手不足の解消や生産性向上に対する取り組みなどが、企業に求められている。今後の企業活動において働き方改革の重要性は増していくだろう。

そこで、どのくらいの企業が働き方改革に取り組んでいるのか、実情を調査した。すると、「働き方改革に取り組んでいる」との回答は60.4%で、2018年8月の前回調査から+22.9ポイントとなった。「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」の16.3%と合わせ、76.7%が積極的な姿勢を示していることが分かった。

一方、「以前は取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」という回答が2%、「取り組む予定はない」という回答も8.9%だった。「必要性を感じない」、「効果を期待できない」、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」といった理由により、施行まで3カ月となった時点でも取り組んでいない企業もあるようだ。
「働き方改革」へ取り組む企業は約6割。帝国データバンクが企業への意識調査を実施

実践されている取り組みは「休日取得の推進」や「長時間労働の是正」が最多

次に、具体的な取り組み内容に関して質問したところ、「休日取得の推進」が77.2%でトップとなった。次いで「長時間労働の是正」が71%と、この2つの取り組みはいずれも70%を超えた。一方、「人材育成」は49.6%、「健康管理の充実」は45.9%、「職場風土づくりと意識の改善、コミュニケーションの活性化」は44.7%、「業務の合理化や効率化のためのIT機器、システムの導入」は43.6%と、いずれも50%を下回る結果になった。

今後取り組みたい内容については、「サテライトオフィスやテレワークの導入」が23.6%で最も多く、次点の「副業の許可」が22.5%となった。これらの項目はいずれも、「現在行っている取り組み」について尋ねた回答で1割を下回っていたもの。緊急性は感じていないものの、導入に対しては前向きに検討している様子がうかがえる。

「働き方改革」へ取り組む企業は約6割。帝国データバンクが企業への意識調査を実施
さらに、働き方改革への取り組みで最も重視する目的について聞いたところ、最多は「従業員のモチベーション向上」で32.4%となった。次いで「人材の定着」が20.2%、「生産性向上」が13.5%だった。「従業員の心身の健康」(11.4%)もあがっていることから、働き方改革への取り組みが従業員に与える影響を重要視する傾向がうかがえる。

働き方改革関連法の施行まで3カ月となった。まだ取り組みを開始していなかったり、必要性に懐疑的だったりする企業が一定数あることが明らかとなったが、「柔軟な働き方の実現」や「公正な待遇の確保」など、法に則した対応をするためにも、企業にとって働き方改革に取り組むことの重要性は増すと考えられる。

まずは、「休日取得の推進」といった実効性が数字に表れた項目から取り組んでみてはどうだろうか。