「いけばな」と聞いても自分とは関係ないものと感じるビジネスパーソンの方が多いのではないかと思います。私自身も長い間いけばなは趣味として、仕事やキャリアの外にあるものとして続けていました。
しかし、ハーバード・ビジネス・スクール(ハーバード大学経営学大学院)で10年働く中で、経営学の最前線で探求されることと、いけばなを通じて自分自身が学んできたことが、重なってきていると感じるようになりました。2017年にIKERUを立ち上げ、いけばなをビジネスや教育の世界につなげる活動を始めて以来、いけばなと経営、とりわけ人材開発やチームマネジメントとの間には通ずるものがある、ということに確信を深めています。また、機械の役割が大きくなる今、無目的でただその行為を楽しむ、身体性と伴って体験するという意味でも、いけばなは人間に大切なことを教えてくれる、と考えています。
この10年で経営学がどのような質的な変化を遂げてきたのか、その変化といけばながどう呼応するのか。いけばなと人材開発・チームマネジメントの間にどのような共通点があるのか。機械ではできない人間だからこその行為とは何か。自分の人生を通じて学び、感じ、体験してきたことを踏まえ、「花をいかす」いけばなのことを、人間に向き合う仕事をされていらっしゃるみなさまにお伝えできたら幸いです。
※本動画は、9月16日ライブ配信講演のアーカイブです。
2017年に華道家として独立。「いけばなの叡智を共に探求する」IKERUを主宰し、いけばなの叡智から学ぶ個人向けのレッスンや組織向けのワークショップなどを展開している。それ以前は、マッキンゼー・アンド・カンパニー、東京大学、ハーバード・ビジネス・スクールで働いていた。著書に『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』(ダイヤモンド社、2016年)。東京大学経済学部、ジョージタウン大学国際関係大学院卒業。古流松麗会顧問。軽井沢在住。