「ジョブ型」雇用や「同一労働・同一賃金」など、いま実務の世界では、仕事の価値にもとづく賃金である職務給への関心が高まっている。とはいえその具体的イメージが広く共有されているとはいえない。そこで本報告では日英の小売企業を事例とする比較研究の成果をもとに、英国企業で実際に運用される職務給と、これに対応する仕事配分や人材育成などの人事管理の特徴を紹介する。現在の英国企業の職務給はもはや「同一労働・同一賃金(the-rate-for-the-job)」型ではなく同じ職務でも能力や成果により差がつく。これに対応する英国企業の人事管理システムを日英比較から明らかにし、日本企業への実践的な含意を考えたい。
【ファシリテーター】
学習院大学 名誉教授 / 学習院さくらアカデミー長 今野 浩一郎氏