「2013年問題」とは、2013年から給料も年金の支給も無い空白期間が生じる問題を指します。

厚生年金は、定額部分(老齢基礎年金)と報酬比例部分(老齢厚生年金)に分かれており、定額部分の受給開始年齢は既に2001年から段階的に引き上げられており、残る報酬比例部分も2013年から引き上げが開始されます。

つまり、2013年4月2日以降に60歳を迎える男性がこれまで通り60歳で定年を迎えた場合、年金の支給が開始するまでの期間を無収入で賄わなければならなくなります。(女性は5年遅れのスケジュールのため、2018年4月2日以降に同様の問題が発生します)。

これまで60歳で支給されていた年金でしたが、「60歳で受け取ることができなくなる最初の世代」が60歳を迎える2013年にちなんで「2013年問題」と呼ばれるようになりました。

対応策として、政府は企業に対して高年齢者雇用安定法を改正することによって従業員の雇用の延長を義務付けました。一般的であった60歳定年退職制度は、

1)廃止するか、2)定年年齢を65歳に引き上げるか、もしくは3)65歳までの継続雇用制度を導入するか、

この3つのうちいずれかの措置を取ることが求められています。ただし、法の趣旨を踏まえたものであれば、短時間労働や隔日労働といった勤務形態や、パートや契約社員といった雇用形態も認められることになり、必ずしも従業員が希望する通りの職種や職務内容、労働条件や賃金形態が叶えられるというわけではありません。

2012年10月時点での厚生労働省の統計によると、65歳以上の定年制を導入した企業は全体の14.0%、うち、従業員1000人以上規模の大企業クラスでは3.1%に留まります。

60歳以前と同様に正社員としての雇用を約束する企業は圧倒的に少なく、多くの企業は60歳でいったん区切りとし、以後5年間は契約ベースでの再雇用を試みるケースが多いようです。
高齢労働者を正社員のまま雇用し続けるよりも、一旦退職させて再雇用する方法のほうが給与額を大幅に減額することが可能だからです。

60歳以上の従業員に対して支払う給与額が大幅に減ったとしても、追加5年分の人件費という負荷は企業に重くのしかかります。

日本経団連が2011年7月19日に発表した提言によると、60歳以上の希望者全員を雇用すると2017年には高齢労働者が33万人程度増加する見通し。企業が雇用できる人数や支払える給与額が変わらないとすれば、必要以上に高齢者の雇用を増加することは新卒者や若者の雇用機会を奪い、従業員の賃金の引き上げを抑え、結果、優秀な人材の確保が難しくなり企業の国際競争力が損なわれると訴えました。これに対し、政府は定年の引き上げ・下げと若者の失業率との間に相関関係は無いと答えています。