「ソーシャルパフォーマンス(Social Performance, SPと略されることもある)」とは、売り上げや損益が評価対象である経済的利益を追求する企業の本業とは別に、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)や環境に対しての取り組みを評価する社会的利益の実現のために行う活動を指します。
企業が社会的責任を果たすための取り組みを開始し始めたのは最近のことではありません。1950年代から議論され始めた企業の社会活動は、70年代に一度、その後90年代後半にも一度、ブームとして取り上げられるようになりました。2度目のブーム以降はCSRという言葉が一般用語として使用されるようになり、企業活動の中で日常的に使用されるまで認知度を上げました。言葉の定着とともに、企業評価の方法についても変化が見られるようになりました。
これまで「エコノミックパフォーマンス(Economic performance:経済的業績)」だけで評価されていた70年代から、「エコノミックパフォーマンス」+「ソーシャルパフォーマンス」での評価方法にシフトし始め、「トリプルボトムライン(Triple bottom line、TBLと略されることもある)」という言葉が使用されるようになりました。
この言葉はイギリスのサスティナビリティ社代表のジョン・エルキントン氏が1997年に提唱した考え方で、企業を経済的側面、社会的側面、環境的側面の3つの側面から評価する方法です。コンサルティング業を行っていた彼は、決算書の最終行(ボトムライン)に収益と損益結果を記入すると同様に、企業の社会的貢献、環境に対する活動についても述べるべきと唱えました。
このようにして、企業は経済的利益を出すための活動と、社会・環境の利益の追求を同時に行うことが求められるようになりました。双方の利益追求の方法はいくつかあります。例えば、(1)利益の一部を社会に還元する資金的援助、(2)企業が保有する資源(土地、スキル、労働力等)の供与、(3)人道的もしくは環境的配慮のなされた商品・サービスの開発、提供、(4)CO2排出量の軽減、労働環境の向上等、企業運営上で社会貢献するという方法、(5)世界の人道的、環境的、社会的な課題を提起し、その解決に携わる方法。
コーズプロモーション(Cause Promotion)もしくはコーズマーケティング(Cause Marketing)とも呼びます。一例として、公正な価格での取引や、技術供与、資質向上のための支援活動を行うフェアトレードは、世界における貧困、飢餓、児童労働、等の問題提起を通して生産者と長期的なパートナーシップを組み、彼らの自立支援を行っています。
このように、SPへの取組み方は多種多様あります。企業は、先ず、取り組むべき社会的ミッションを設定し、それを業務上の実務に取り入れ制度化するための設計を行います。この行程を「ソーシャルパフォーマンスマネジメント(Social Performance Management, SPMと略されることもある)」と言います。ミッションを設定し、そのためのSPM設計をしたら、常にアウトプットがミッションに掲げた通りの社会的影響もしくは改善を達成できているかを確認することが大切です。