人材研究所 曽和氏が語る「活躍人材」の
獲得につながる採用のマンパワーシフト
~いま、『適性検査』の活用が再注目されている理由とは~
「自社で働いてもらいたい」と大きな期待とともに採用した人材が、必ずしも活躍してくれるとは限らない。この悩みを解決するためには、採用選考のあり方そのものを大きく変革しなくてはならない。
これまで主流となっていた学歴重視の採用だが、2000年代後半以降、スキルベースを重視した採用にシフトする企業が増加している。ピープルアナリティクスの本場アメリカから始まったこの流れは、日本でも加速しており、DX人材を中心にスキルベース採用を進める企業が増加。新卒採用においても、ジョブ型雇用の浸透を背景にスキル重視の採用を進める大企業も増えてきている。企業がこれから「活躍人材」を採用するためには、より正確に候補者のデータを測定・分析し、「活躍人材」のファクトとなるスキルを見極めていく必要があるのではないだろうか。
そこで今回、採用支援のスペシャリストとして知られる株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光氏と、活躍人材の可視化を目指してつくられた適性検査『GPS-Business』を提供する株式会社ベネッセi-キャリアの風間 直樹氏による対談を通じて、企業で活躍してくれる人材を獲得するために人事が押さえておくべきポイントについて考察する。(以下敬称略)
「自社で活躍してくれる人材」の定義について考える
風間自社で活躍してくれる人材を採用することが、すべての企業にとって理想だと思います。しかし、そもそも“どんな人材が活躍するのか”が明確になっていない、わかっていないという企業が多く、採用選考における大きな課題となっているように感じます。
曽和「自社で活躍してくれる人材を採っているつもりが、実は自社で設定した人材要件の定義から誤っていた」ということも大きな問題の1つですね。
多くの企業では“活躍人材”とはなにか?様々な方法で定義しようと工夫されていると思います。しかし、「こういう人が活躍する、またはしていたはずだ」という思い込みから、人材要件や採用基準を定めてしまうケースも見受けられます。例えば、ストレス耐性のある人材が活躍してくれる、という思い込みから採用要件の重要項目に「ストレス耐性」を組み込み、面接では「過去に挫折経験やトラウマがあるか?」を深堀りして聞いている企業様がいます。ところが、実態を調査してみるとパフォーマンスを出している人全員が挫折経験やトラウマのある人ではなく、むしろそういう方が早期退職してしまっていたというケースも見受けられます。
高度成長期からバブルぐらいまでの“頑張り競争”の時代なら、挫折経験やコンプレックスをバネに「勝ちたい」と努力できる人が強かったのかもしれません。しかし将来が不確かな現代では「勝ちたいから頑張る」ではなく「面白いからやってみる」、「失敗したら、はい次」と考えられる人の方が、ストレス耐性は強いかもしれません。今の時代ではこうしたあいまいな環境で楽しみながら試行錯誤できる「あいまい力」が高い方こそ活躍しているというお話もよく聞きます。時代の変化によって求められる素養も変わるわけです。
また、チームで助け合いながら働く協調型の企業では団体競技の経験者がいいのかも知れませんが、逆に社内での競争が活発な企業ではチームプレーの経験は生きてこないでしょう。このように個人の特性だけでなく、企業の文化・風土とのマッチングによって発揮できるパフォーマンスは大きく変わります。活躍人材を定義するうえではこうした企業の文化・風土に根差した活躍の要件を、なるべく思い込みを排除した形で明確にしていく必要があります。
風間我々が企業に対して採用改善をご提案させていただく際にも、なにを重視して採用するのかを明確にするため「データに基づいて人材要件・採用基準をしっかり作りましょう」ということが入口になります。
曽和本来そうあるべきなのです。実際、データやファクトをベースにした、いわゆる“ピープルアナリティクス採用”に取り組むところが増えています。適性検査など客観的な手法で候補者の能力・性格・思考特性を分析し、面接ではフェイス・トゥ・フェイスでしかわからないことの見極めや人にしかできない意向上げに注力するという、分担も必要だと思います。
活躍人材をどう定義し、見極めていくのか~適性検査の効果的な活用方法とは
風間求める人材の要件を考える際には、言葉の定義にも注意しなければなりません。たとえば「コミュニケーション能力の高い人がいい」といっても、人によって意味合いが違いますよね。
曽和ひと口に「コミュニケーション能力」といっても、対人サービスを提供する企業であれば「お客様との距離を詰められる人間性」を指し、クリエイティブ分野の企業なら「表現力」と言い換えられるのかもしれません。採用は関係者が多岐にわたるので、受取り手の解釈にばらつきが生じる言葉を多用するのは危険なようにも感じます。
だからこそ私は“適性検査推し”なのです。ハイパフォーマーの成果行動を生み出したベースにはどんな能力・性格・価値観があるのか、適性検査によって整理することから始めましょう。それをもとに求める人物像を明確化するのです。採用だけではなく、適材適所の配置や人事制度の整備においても、会社の中にどんな人がいてどんな活躍をしているのか、データ分析なしに進めることはできません。適性検査ではその特性上、測定項目の意味もしっかり定義されているので言葉の意味を共有しやすいというメリットもあります。
風間実際、われわれが提供している適性検査の『GPS-Business』でも、まずは社員の方や内定者などに受検していただくことからスタートすることが多いです。その結果を見て、採用選考時にはどの項目を重視して評価するのか確認していくことになります。
曽和適性検査で重要なのは、業界や企業が違っても、仕事や役割が違ったとしても、いつでもどこでも必要となる普遍的なマインドやスキルを評価することだと思います。
ITの技術や生成AIといった先端のテクニカルスキルは、移り変わりの激しい市場の中で重要度が変化していくでしょう。でも、そうしたスキルを使って世の中をどうしていくのか、考え方や行動のベースになる部分、時代が変わっても陳腐化しないマインドやスキルが重要視されるべきではないでしょうか。
その点で適性検査を導入する企業にとっては、どこにフォーカスを当てて作ったテストなのか、設計思想が大きなポイントになってくるでしょう。
- 変化の激しい時代でも、適性検査なら普遍的なマインドやスキルをしっかり評価できる
- 進化する適性検査~面接ではわかりづらいスキル測定も可能に
- 適性検査の効果最大化~採用フローの初期段階から実施すべし
- 多くの採用担当者が気づかない、適性検査導入の隠れたメリット
- 「隠れ優秀層」を発掘しやすくなる、そんな採用変革を目指して
について話題が続きます
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株式会社人材研究所
代表取締役社長曽和 利光氏
京都大学教育学部教育心理学科卒業後、株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)へ入社。人事部採用グループにて主に採用、教育、新人事制度の構築、組織人事コンサルティング業務に携わり、ゼネラルマネジャーを務める。2009年から2011年にかけ、ライフネット生命株式会社総務部長(人事責任者)、オープンハウス組織開発本部長と人事採用部門の責任者を歴任した後、2011年10月より株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。
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株式会社ベネッセi-キャリア
教育事業本部 本部長風間 直樹氏
新卒で株式会社ベネッセコーポレーション入社し、高校生の進路・進学支援に携わる。その後、株式会社ベネッセi-キャリアへ異動し、大学のキャリア教育変革、企業の新卒採用支援に携わる。高校・大学・企業と幅広いステージで、学び方・キャリア開発の支援を行い、現在は適性検査『GPSシリーズ』の事業責任者を務める。
今回の対談では、「GPS-Business」という
思考力を測定する適性検査についてご紹介しました。
詳細は資料をダウンロードしてご覧ください。
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