以前にも当コラムで神田が書いておりましたが、「ロボットが人間の仕事を奪う」ということが様々なメディアで取り上げられています。
そして、その「奪われる職業」の中に、“訪問型営業”職が入っています。
未来の新しいテクノロジーが営業パーソンの仕事を代行するようになりますと、今あなたがしている営業活動は、あなた自身を必要としなくなるかも知れないのです。
では、全ての営業がそうなってしまうのでしょうか。
きっと、無くならない営業というのもあるはずです。
無くならない営業とはなにか
無くならない営業というのは、ロボットにはできない「その人だからこそ」という付加価値だと考えます。
付加価値とは何かと言いますと、お客様の目線において「ありがたい」、「嬉しい」、「得をした」と感じられるものだと思います。
ですから、お客様目線をとことん追求することで、営業の仕事における付加価値の正しい付け方が見えてくるはずなのです。
付加価値をつけるといっても単純に「資格を取る」とか「英語のスキルを磨く」といった話ではなく、一番大事なのは「お客様がなにを求めているのかしっかりと理解すること」ではないでしょうか。
お客様がおっしゃることは2種類しかない
お客様がおっしゃる「要望」というのは、大きく「オーダー」か「オファー」かという2種類に大別できると言われます。
オーダーというのはお客様側において既に熟慮され決まっていることが多いため、そのままお客様のイメージ通り形にすれば喜んでいただけるはずです。
一方、オファーというのは、お客様側でまだ決まっておらずモヤモヤしていることが多く、そのモヤモヤの整理も含めて一緒に解決することで喜んでいただけるのです。
まずは目の前のご依頼が、「オーダーを実行する」べきことなのか、「オファーを実現する」べきことなのか見極めなければいけません。
そして、オファーであった場合には、何となくお客様の意向に沿うようにしてはいけません。自身の経験やノウハウを結集させて「もっとも良い」と思える提案を積極的にぶつけて差し上げるべきでしょう。
そうすることで、お客様との信頼関係を築くことができますので、ひいては会社の利益や営業パーソンの価値にもつながっていくというわけです。
無くならない営業活動のためにすべき「正しい努力」
“自身の経験やノウハウを結集させて「もっとも良い」と思える提案を積極的にぶつけるべき”と書きましたが、このあたりの努力を間違っている方が意外に多いように思います。
提案を考えるときだけでなく、日々の営業活動の中で「もっと頑張らなきゃ!頑張らないから上手くいかないんだ」などと思ってはいないでしょうか。
結果を残せない原因やアイデアが出せない原因を単なる「頑張り不足」と考えてしまうと、様々な形でムリが生じてきてしまいます。
まずは立ち止まって、「その努力が本当に正しいのか」を見つめ直してみましょう。努力にも「質」があります。その「質」を間違えてしまうと、時間が無駄に終わってしまうだけでなく体を壊してしまいかねません。
マッキンゼー・アンド・カンパニーで25年間コンサルタントを務めた山梨広一氏の著書「いい努力」(ダイヤモンド社)でも、このようなことが書かれています。
「時間=努力」と錯覚していないか考え直すべき(p29)
多くの日本人は時間を掛けることで満足感を得てしまっていると厳しい指摘が書かれていました。確かに、長時間残業して充実感に浸るのではなく、本来であれば「成果」にフォーカスしなければいけないでしょう。
同著でも“成果へのフォーカス”については「アウトカム志向」という言葉で表現されていました。
営業パーソンは「アウトカム志向」を意識しよう
「アウトカム」というのは成果のことですが、「アウトカム志向」というのは何かというと、次のように定義されていました。
「この時間、この行動でどんな成果がでるか」をつねに意識するということ(p60)
実際、何らかの「アウトプット」を出すと仕事をした気になってしまいがちですが、そのアウトプットが本当に成果に繋がっているのか、つねに意識しながら行動しなければいけないということですね。
お客様に喜んでいただくという「アウトカム」の意識を持ちながら、正しい努力を続けていきましょう。
スティーブン・R・コヴィーの名著「7つの習慣」でも、「第2の習慣」のところで同様のことが書かれています。
「個人の効果は単に努力の量だけで決まるのではない。その努力が正しいジャングルで行われていなければ、生き残ることさえおぼつかなくなる」(P124)
正しい努力を続けて付加価値の高い「無くならない営業」を目指そうではないですか。
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※この記事は『アルヴァスデザインHP メンバーズ・コラム』に掲載された内容を転載しています。