2014年08月07日
マーサー ジャパン株式会社 年金・財務リスクコンサルティング 石川 一彦
ベビーブームが到来しました。
昨年3人、今年に入ってからも既に3人の子供が誕生しています。
私の所属する年金・財務リスクコンサルティング部門の話ですが、15名のチームにしては、すごい勢いだと思いませんか?
この子供たちが成人する頃にはどのような社会になっているのでしょうか?
今多くの人が心配している公的年金に関しては、支給開始年齢の移行期間が終了し完全に65歳になっています。人口構造は、65歳以上の割合が、2012年の24%から2032年には32%に上昇する見通しです。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成24年1月推計)中位推計より)日本の人口が10人だとすると、イメージとしては図1のとおりです。
20歳~64歳だけが労働者だとすれば、労働者が6人から5人に減るということです。特に先代からの遺産もなく生産性も変わらないような場合、生活水準は下がるのでしょうね。図1は、年齢の区切りを意識せずに人数に着目するともう一つ別の見方も出来ます。人生の半分しか働いていないということです。人生の最初の20%勉強して、その後人生の50%の期間働き、最後の30%の期間を遊んで暮らすというものです。(分かり易さのため、極端な表現を使っておりますが、ご容赦下さい。)勿論正確な見方ではありませんが、こうやって見ると考えさせられるものがあります。最初の20%の期間なぜ勉強するのか?これは複雑化した社会の中で生産活動に参画するための準備ですね。では、最後の30%の期間を遊んで暮らすことにどのような意味があるのでしょうか?長いこと働いて疲れたから?あるいは遊んで暮らすことが本来の目的で、そのために労働し十分な蓄えが出来たから?なお、すべての期間を自立して過ごすと考えると、こういう見方もできます。最初の20%の期間は無収入ですから借金するしかありません。その後働きながら借金を返済するわけですが、同時に最後の30%の期間遊んで暮らすための貯蓄をするということです。かなりユニークな人生設計だと思いませんか?最初の20%の期間は準備期間とするとしても、残りの80%の期間は、もっと違う人生設計もあるように思われます。例えば、図2の新人生設計案のような。
そもそも人生遊ぶことが目的だという方には向かないものですが、人生の半分の期間集中的に働くと疲れてしまうという方(ご尤もだと思います)には、有効な解決策になるのではないでしょうか?進歩する社会の中で生産性を維持向上するためにも、適切なタイミングでの充電は必要ですよね。遊ぶことが目的ではないが、高齢になれば体が思うように動かなくなるので、そもそも働けないというご意見もあろうかと思います。確かに、若い頃と同じような働き方はできないかもしれませんが、本当に30%もの期間何もできませんか?図3に、65歳時点での平均余命と無障害平均余命を掲載しました。あくまでも平均ですので個別には当てはまらないこともありますが、平均的には65歳以降もまだ10年以上働けるように思われます。
そこで図4をご覧下さい。図1の65歳以上をさらに分けました。
20年後に74歳まで労働者として期待できれば、労働者の割合は60%で今と変わりません。高齢化が進んでも生活水準を維持向上させるヒントがここにあるように思われます。充電しながら多くの方々が74歳まで元気に働く、公的年金は原則75歳支給開始、そんな社会を皆さんはどう思われますか?さて、最初の話に戻しますが、私の部門は今ベビーブームです。さらに驚くことに、全部で8人の子供がいるのですが、全員男の子です!(発生確率0.4%!)すごいと思いません?これは単なる偶然とは思えません。私にはある仮説があるのですが、これは別の機会にでも。※本記事は2012年8月時点の記事の再掲載となります。
マーサー ジャパン株式会社 年金・財務リスクコンサルティング 石川 一彦
大手信託銀行において、企業年金に関する制度設計、数理計算、年金数理人業務等に従事。
マーサー社では、多くの制度設計を手掛ける。M&Aでのデューデリジェンスなど非定型な分析業務の経験も豊富。東京工業大学大学院物理学専攻修了。
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