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震災等での交通マヒによる欠勤

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2016年03月04日

東日本大震災から5年が経過しようとしている。
復興が進んでいるとはいえ、避難者は17万人以上に上るなど、困難に直面されている方はまだ多く、決して過去のことにしてはならない。今回はそのような思いを持っての話である。

震災などが起きると、交通機関が不通となったり混乱したり、あるいはガソリンの欠乏や道路の損壊等により出社できなくなる社員が発生する。

このような場合に、社員の勤怠をどう取り扱うべきか?

もちろん、就業規則に規定があればそれに従うことになるが、実際のところ、そこまで細かく規定していない企業も多いようなので、あらためて整理してみる。

論点は2つ。(1)出社しなかった事実をどう処理するか、(2)賃金をどうするか、である。

まず、(1)については、①欠勤扱いとする、②年次有給休暇とする、③特別休暇とする、という選択肢が考えられる。

①の場合、欠勤に労働者の責任はなく、出社の意思はあるのだから、無断欠勤や事故欠勤とするのは酷である。 ちなみに事故欠勤とは、私傷病以外の私的理由による欠勤のことで、無断欠勤のように懲戒対象にはならないものの、人事評価や給与・賞与等に影響するのが一般的である。

したがって、欠勤とするなら、公務や伝染病による欠勤といったものと同様に「無事故」扱いとするのが適切だろう。無事故であるから、人事評価や皆勤手当、賞与等にマイナスの反映をしないのが原則である。

②の年次有給休暇は、賃金の支払いの有無を心配せずに済むが、労働者の中には、このような事情で消化したくないとの思いをもつ者もいるはずだ。
有給休暇の趣旨からしても、会社側で一律的に適用するのではなく、労働者の同意を得て適用するのが適切だろう。

③の特別休暇は、今回のような非常事態に際して、臨時的な措置として認めるものである。会社によっては、インフルエンザの対応などで実施したところもあるかもしれないが、それと同様のものだ。これならば、労働者は有給休暇を消化しなくてよいし、有給休暇の権利がない人にも与えられる。

次に、(2)の賃金をどうするか、である。

会社からすれば、会社の責任によらず社員が”ノーワーク”なのだから賃金を支払う義務はない。ただ、労働者も不可抗力で出社できなかったのだから、無給とするのは酷だという考えもあろう。

こればかりは、会社が経営判断をするしかない。適用者の人数・日数、人事制度、特に福利厚生に対する考え方やこれまでの取り扱い、さらには会社のフトコロ事情もあるだろう。

ただ、苦労して出社した人も少なからずいるはずで、その人たちのことも考慮すれば、全額支払うのは公平感に欠けるという考え方もできる。そこで、支払うにしても、たとえば休業手当と同様に賃金の6割とするなどの方法もある。

以上から、実際的な対応を整理してみると、まず、年次有給休暇を利用する人はそれを勧める(権利がたくさん残っている人が多いと思う)。そして、有給休暇を選択しない(できない)人は、無事故扱いの欠勤とし、これは賃金の6割支給あるいは無給とする、といったところだろう。

特に、欠勤が多いと想定される最初の数日間は、有給の特別休暇とすることなども、場合によっては考えられる。企業の状況に応じた選択を行ってほしい。

今後に備えて、どう対応するかを就業規則等できちんと規定化しておくことも大切である。

 

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