以前、当社公開セミナーにおいて、イギリス人異文化&ビジネスコミュニケーションスペシャリストと、
アメリカ人リーダーシップトレーナーの2名によるプログラムを実施した事がある。
初めての試みだったが、大好評だった。
2人の共通点としては、日本在住経験が長く、日本そして日本人のことが好きである。
彼らは、なぜ日本でリーダーシップを教えているのか、日本人のグローバル化を行っているのか
興味を持ち、質問を投げかけてみたところ次のような答えが返ってきた。
「日本人にもっとグローバルビジネスにおいてリーダーシップを発揮してもらいたいのは、恩返しだ。
私と私の家族は日本から多くを学び、多くを得た。だからこそ私なりに出来ることは、
より多くの日本人がグローバルビジネスで能力を発揮できるよう必要なスキルや知識を伝えサポートすることだ」
「日本人がグローバル社会においてリーダーシップを発揮することは、グローバル社会にとってもいいことだ。
日本、そして日本が持っている価値観には素晴らしいものがたくさんある。
だからこそ、グローバル社会において欧米的な価値観だけではなく、日本的な価値観を持ち込むことでもっと世界は良くなるはずだ」
私としてもまさに共感するところである。
だからこそ2000年に独立し、今の会社を立ち上げた。
起業以来15年経ったが、日本におけるグローバル人材育成はどうなっているか?
当時よりも海外企業のM&Aや日本企業の新興国進出も増えており、
クライアント企業の「グローバル化」、「グローバル人材育成」への本気度は変わりつつあると感じている。
しかし、ようやく、という感じもしている。
そこで、日々企業のグローバル人材育成に関わりながら「なぜ日本企業のグローバル人材が育たないのか?」について感じることをまとめてみた。
結論から述べよう。
理由は大きく分けると以下の3点である。
1 Why (なぜ自分がグローバル人材になるべきか、が腹落ちしていない)
2 What(グローバル人材の能力要素がわからない)
3 How(能力要素がわからないからその身に付け方、方法がわからない)
そもそも自分自身のグローバル化に腹落ちしていないから、本気になっていないのである。
またどのような要素を身に付けるべきかもコンセンサスが取れていない状況である。
そして、ほとんどの企業がこの本質を無視してひたすら本気度の低い社員に英語レッスンを繰り返してきた。
そしてその目標としても、競合となる韓国企業よりも、200点も300点も低いTOEICの目標点数を掲げている状況だ。
自分自身のグローバル化に対する本気度が低いと、業務の多忙さを言い訳にしてなかなか取り組まなかったり、
または、目標点数を1点でも上回ると、もういいでしょ、となる。その結果、過去の投資へのリターンは惨憺たるものだった。
しかし、その状況にも変化の兆しが見えてきている。
昨今、日本本社から派遣された駐在員が現地法人でお荷物化する、
国内で採用した外国人社員が数年でやめてしまう、などの課題が続出し始めている。
危機感を持った経営者や人事部がようやく重い腰を上げ、
先に挙げたWhy, What , How, これら3つの要素をすべて取り入れた人材育成プログラムを弊社と共同開発し成功を収めている。
私がその現場でつぶさに見てきたことは、冒頭のイギリス人及びアメリカ人トレーナーの言葉のように、
ある特殊な訓練を通して見事に世界で渡り合えるグローバル人材に生まれ変われるということだ。
そして、生まれ変わった人材はさらに上を目指す。
ただのグローバル人材ではなく、グローバルマネージャー、グローバルリーダーを目指していく。
この流れが出来上がれば、当然組織の雰囲気も変わってくる
いま求められているのはこの仕組みを作り出すことだ。
人材開発と組織開発の相乗効果を生み出し、グローバルでは戦えないという勘違いのマインドセットと沈滞ムードを一掃することなのだ。
以前、本ブログでも書いたように、私はGlobalでもLocalでも最高のパフォーマンスを発揮できる人材をGL型人材と呼んでいる。
社員全員をGL型にする必要もないし、それを目指すことは非現実的だ。
ただ、まずは社内の選りすぐりの人材をGL型に育成する決断をし、鍛えることで、彼ら彼女らの雰囲気が変わる。
スキル面でもそうだが、仕事や人生への向き合い方が変わり、取組み方も自ずと変わる。
そして自信が周囲からも感じられるようになると、周囲にも好影響を及ぼし始め、組織の雰囲気も変わる。
そんな仕組み作りが必要だと考えている。
仕組みについては、企業規模の大小による違いはもちろんあるものの、
最終的には個々人が「グローバル化」に対してどのように向き合うか、に関わってくると強く信じている。
だからこそ、企業規模の大小問わず実行可能であるし、これからもこの仕事を通して、
様々なパートナー講師やコンサルタント、教育機関と協働し、グローバル人材育成に邁進していきたいと考えている。
改めてそう感じた週末だった。