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「経営人材に求められるプレゼンテーション力とは?」

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2016年03月17日

国内、海外どこであれ、協働するメンバーがどこの国籍・文化、性別、世代、職種の人であっても

この人に「ついていきたい」、「一緒に働きたい」と思わせられる力を持てる人材が、

グローバルリーダーであると考えている。

 

宣伝となり恐縮であるが、この度英語でのプレゼンテーションスキル向上のための

著書を書くこととなり、改めて日本企業の人材のプレゼンテーション力について考え、整理しているところだ。

 

「プレゼンテーションスキル」といっても、スティーブ・ジョブズのように大勢の聴衆を前にし、

新しい製品やサービスについて紹介するようなものをイメージされる人も多いかと思うが、

もちろんそれだけではなく、技術者や営業マンによる1対1の商談もプレゼンテーションであり、

社内における朝礼でのスピーチ、日常業務における報連相も広義のプレゼンテーションだ。

情報提供を通して相手に影響を与えることと捉えれば、私たちが日々業務で行っているものだ。

このプレゼンテーションスキルの重要性が日本企業でも改めて注目されている。

 

グローバル競争の影響から、企業でも社会でも多様な人材と共に働き、戦うことが必要になってきていることが大きい。

多様な人材がいることで、様々な視点から意見を出し合い、刺激が生まれ、創造性、そしてイノベーションにつながる可能性が高い。

しかし、多様な人材が集まるだけではイノベーションにつながらない。

同じビジョンに向かって議論をしなければ、単なるカオスになりかねない。

組織やチームのリーダーとしては、きちんとビジョンを示し、共感を得る必要がある。

そこには言葉、そして伝え方が重要となる。言葉を通して、メンバーを束ねなければならない。

これを、英語で出来ることの必要性が高まっている。だからこそプレゼンテーションスキルを磨くことは基本中の基本であり

特に、リーダーとしてはコアスキルとして押さえておかなくてはならない。

 

こう書くと、英語力を上げる、表情・ジェスチャーを含めた伝え方であるデリバリーの力を高めることを考えがちだが、

 

忘れてはならないのは、そもそもプレゼンテーションという手段を通して、何を達成したいかという「ビジョン」である。

英語ができて、スキルが高いだけでは聞き手をひきつけ、動かすことはできない。

 

そして、聞き手をひきつけられる力がある人には、オーラがある。

プレゼンス、日本語で言えば存在感がある。

1対1のプレゼンテーションでも1対多数のプレゼンテーションでも、聞き手は知らず知らずのうちにプレゼンターを評価しているものである。

評価項目は、内容そのもの、ロジックの展開、スライドの分かりやすさ、服装、ジェスチャーや表情などの非言語領域、など様々である。

それらを総合してひとつの印象ができあがるのである。そしてポジティブで強い印象を残せればプレゼンテーションは成功と言える。

そしてそのプレゼンターは、聞き手に対して自分自身の存在感を示すことができるのである。

 

私は人材育成の仕事に携わり、その中で多くの成功者に出会うことがある。こういった人たちの特徴は、会った瞬間に感じるオーラである。

まだ何も話していないのに、その人の体全体から出てくる独特な雰囲気がある。話し始める前からある意味のプレゼンテーションがスタートしているのである。

例えば自分が何か営業を受けているとする。会った瞬間にこの人から買いたいと思わせる人とこの人からは絶対に買いたくないと言う人がいる。

プレゼンテーションというのは、もうそこからスタートしているものなのである。

こうした存在感のある人の共通点としては、ビジョンを持っており、それを実現させるための情熱を持っていることだ。
その人物の生き様やものの考え方が強く影響している。

その中核要素となるのが、ビジョナリーシンキング(ビジョン構想力)だ。

 

ビジョナリーとは、ひらめきであり発想である。これは右脳的な働きだ。

シンキングとは、その名の通り思考力である。こちらは左脳的だ。

優れた人材は、右脳と左脳のバランスが非常に良いものである。

ソフトバンクの代表である孫正義氏は次のように語っている。

 

「最初は右脳を使って思う存分、

成功のイメージをつかみますが、

その次の段階では、そのイメージを実現するための具体策を左脳で翻訳していくんです。

『この未来を実現するためにはどうすればいいか』と。

そこからはもう、完全に論理の世界です」

(PRESIDENT 2011年3月11日号より)

 

また、京セラの創業者稲盛和夫氏は以下のように語る。

 

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、

楽観的に実行することが物事を成就させ、

思いを現実に変えるのに必要なのです。」

(稲森和夫オフィシャルサイトより)

 

この2人は日本を代表とする起業家であり経営者である。

表現の仕方が違うが、明らかにこの2人の思考の回路は酷似している。

まずは右脳でクリエイティブに考え、その後は徹底的に左脳で緻密に詰めていくのだ。

こういう人材の考え方は、人々の感性に訴えていく。すなわち影響力を持つことができるのである。

 

2人ともプレゼンテーションスタイルは異なるが、聞き手を動かす力を持っていることは周知のとおりです。

そして2人とも、日本人、外国人問わず聞き手を動かす力を持っている。

 

経営人材としては、ますますプレゼンテーションスキルを高める必要性を感じているがいかがだろうか?

 

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