先日、「組織の英語力の底上げ」という課題で、
人材育成ご担当者と共に意見交換する場があった。
この課題は多くの日本企業にとって永年の課題だ。
70年代、80年代の当時「国際化時代」と言われていたころからの課題であり、
その取組は、実のところ多くの企業で、それほど進歩がないというのが実情だ。
例えば、社内英会話レッスン、通信教育・eラーニング、英会話学校への通学補助などである。
80年代後半から90年代前半にそうした研修を受けていた当時の若手は
いまや、40代後半、50代となり多くの企業での部長クラス、幹部クラスだ。
しかし、そうした層にグローバル人材がいない、というのが大きな課題となっている。
つまり、その頃の教育には効果がさほどなかったということである。
しかし、英語学習環境も、そもそも英語を使って戦う市場環境そのものも
当時から大きく変わっている。
特に、2000年以降、「グローバル化」がフォーカスされ始めたころからも
すでに大きく変わりつつある。
そうした変化の中、これまで通りの英語学習方法、スタンスでいいのか?
この課題にどう向き合うべきか?
この課題は、読者の皆さまにとっても、顧客への向き合い方、
そしてこのグローバル時代における後継者育成、という点とも
密接に絡み合っていると考えているので、以下の2点から私見を述べたい。
1) 学習方法の変化
2000年のIT革命以降、大きく学習環境が変わり、特にオンライン教育が拡がってきている。
ここ数年、スマートフォンや、タブレットを使い、いつでも、どこでも、スキマ時間を使って手軽に学べ、
かつコンテンツもこれまでより遥かに充実し、知的刺激に溢れたものが簡単に手に入る時代となった。
例えば、Coursera(コーセラ)に代表されるようなMOOCs
(Massive Open Online Course、大規模公開オンラインコース)では、
一流大学のコンテンツがいつでも、そして無料で学べる時代になっている。
https://www.coursera.org/
以前、英語が出来る、出来ないことによる格差、「English Divide」という言葉があったが、
その格差は、MOOCsのようなツールを使って自分自身の市場価値を高めようとする
人材との差など、もっと大きな格差につながりつつある。
いわば「MOOCs Divide」が起き始めてきている。
こうしたツールは、これまでの社内英会話のように、「与えてもらう」ものではなく、「自ら取りに行く」ものである。
故に、一人ひとりのやる気、自分自身を高める意欲がカギとなる。
2) やる気を引き出すには?
では、どのようにやる気を引き出すか?
経営者としてこの課題について考えるために、ハーバード大学では
楽天での英語公用語化についてケーススタディ化している。