仕事柄、今、世の中で求められるグローバル人材像とその育成について常に考えている。
2000年頃の爆発的なインターネットの普及により、
トーマス・フリードマンの言う、グローバリゼーション3.0の時代に入ったと言われてはや16年となる。
グローバリゼーション2.0の時代は「企業のグローバル化」が大きな影響力を持っていた
(グローバリゼーション1.0は「国のグローバル化」)。
しかし3.0では「個人のグローバル化」が、企業活動、ひいては世界経済にも大きな影響をもたらし得る時代になった。
そこで、私も個人のグローバル化に必要な要素を具体化するために、
「パーソナル・グローバリゼーションモデル」を2008年に拙著「パーソナル・グローバリゼーション」で発表した。
その「個人」について、最近気になっているキーワードがある。
それが冒頭の「スマートクリエイティブ」である。
これは昨年出版されたGoogleのエリック・シュミット会長による
「How Google Workskar – 私たちの働き方とマネジメント」(日本経済新聞社)に書かれている、
今の時代においてインパクトを起こせる人材のことである。
グローバリゼーション3.0になり、クラウドコンピューティングや、
スマートフォンなどの登場により、ビジネスの在り方が大きく、
そして加速度的に変化している。
結果、グローバル市場で成功するようなインパクトを与えることが出来る商品やサービスが、
大きな組織ではなく、個人や小さなチームから生み出せるようになってきた。
そして、最も大きなインパクトを与えられる人を「スマートクリエイティブ」と呼んでいる。
要素としては以下の通りである。
テクノロジーの知識+ビジネス能力+創造力
こうした人材は、最新のツールと自由な環境が与えられると、
驚くべき製品やサービスを驚くべきスピードで生み出せる。
確かに最近の事例を見ると、例えばスマートフォン市場において
サムスンにかなりにインパクトを与えている中国の小米(シャオミー)のCEO雷群や、
10数年で世界でも有数の価値を持つ企業となったアリババのCEOジャック・マーなどは
まさに「スマートクリエイティブ」な人材であろう。
テクノロジーの知識に、ビジネスモデル作りの力、
そして何より強烈なビジョンを持っている。
こうした人材は、何も特別な人の話ではないと私は考えている。
皆さんの企業、組織においても十分可能性があり、そうした時代にいると考えている。
しかし、多くの企業はリスクを回避することに力を注ぎ、自由さとスピードをあげることに目が向いていない。
また組織内の文化、コミュニケーションとしてもこうした人材を惹きつけ、活躍できる場となっていないということが
課題だとGoogleのエリック・シュミット会長は挙げている。
企業の代表として私たち自身が、スマートクリエイティブであるか、
または、スマートクリエイティブな人材を惹きつけ、彼ら彼女らが
活躍できる場づくりをしていくマネジメントを考えていく必要があるのではないだろうか。
そんなことを考えていたこの1月である。